JCB復興支援、石巻を持続可能で豊かな地域へ

2011年の東日本大震災発生後、JCBは『「5」のつく日。JCBで復興支援』を立ち上げ、被災地のさまざまな復興支援活動を支援してきた。5月までの「5日」「15日」「25日」にJCBカードを利用すると、買い物1件につき1円が復興支援活動に寄付される仕組みだ。震災から9年が経ったいま、『「5」のつく日。』の支援を受け、石巻を持続可能で豊かな地域にしようと奮闘する2人の起業家がいる。(オルタナ副編集長=吉田広子)

■「空き家」の再生で地域を持続可能に:合同会社巻組

石巻のクリエイティブチーム「巻組」のスタッフ。前列中央が代表の渡邊享子さん

宮城県石巻市内を一望できる日和山(ひよりやま)。そのふもとで空き家をリノベーションした「蛤浜(はまぐりはま)の木の家」が3月末にオープンした。手掛けたのは、石巻のクリエイティブチーム「巻組(まきぐみ)」だ。

代表の渡邊享子さんは、震災発生当時、大学院で都市計画を学んでいた。研究室の仲間と石巻でボランティアしたことがきっかけで、被災した空き家を回収し、移住してきた若者らに活動拠点を提供する取り組みを開始。博士課程を修了した2015年3月、巻組を設立した。

渡邊さんは「全国的な課題だが、石巻でも人口が減少しているにもかかわらず、従来の大量生産型の住宅供給が行われている。需給バランスが崩れ、空き家は増える一方」と危機感を募らせる。

渡邊さんが目指すのは、石巻の地域経済を持続可能にし、幸せな暮らしのあり方を提案すること。そこで、古くて一見無価値な空き家をリノベーションし、震災ボランティアに滞在場所として提供したり、震災を機に石巻に移住したアーティストや起業家などに貸し出したりしてきた。

「家は単なる建物ではなく、地域を形づくるもの。空き家を再生し、人の多様化が進むことで人や地域も活気づいていく」(渡邊さん)

同じく石巻で活動する「はまのね」とコラボレーションし、蛤浜の杉材をフローリングに使った「蛤浜の木の家」

『「5」のつく日。』の支援を受けて完成した「蛤浜の木の家」は、「巻組」にとって次のステージに進む第一歩となった。

「地域で資源を循環させたい」という思いを強めていた渡邊さんは、牡鹿半島にある蛤浜で伐採された杉材をフローリングに使用。木材を提供したのは、震災で壊滅的な被害を受けた蛤浜で、林業の6次産業化などを通じて地域課題に取り組む「はまのね」(石巻市)だ。

渡邊さんは「JCBの支援を受けて、ストーリーのある蛤浜の杉材を使うことに踏み切れた。地域の資源を循環させ、地域に貢献する新たな一歩になった」と語る。

「蛤浜の木の家」はいずれ賃貸として貸し出す予定だが、しばらくは「まちの保健室」のようにコミュニティーのなかで役立てていく計画だ。

「たくさんの人の目に触れることで、古いものの価値や石巻の魅力を伝えていきたい。現代の大量生産・大量消費の社会のあり方を見直すことにもつながれば。社会を変えるのは容易ではないが、JCBのCSR担当者の自社の事業を通じて社会に貢献したいという思いに触れられたことも、これから事業を育てていくうえでの糧になった」(渡邊さん)

「巻組」と「はまのね」は市民大学「とりあえずやってみよう大学」で連携するなど、石巻では地域を良くしたいという起業家や若者の輪が広がっている。

■被災した蛤浜の暮らしを守りたい:一般社団法人はまのね

ページ: 1 2

2020年4月7日(火)13:11

ご購読のお申し込み

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑