書評『グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる』

長い三つ編みとチェックのシャツ、真剣な表情で気候危機を訴えるグレタ・トゥーンベリさん。一躍ときの人となったスウェーデンの高校生の活動は世界中で知られている。『グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる』(西村書店)は、活動の経緯やグレタさんが求めるものを分かりやすくまとめている。イタリアのヴァレンティナ・キャメリニ氏の作品を翻訳したもので、小学5年生以上の漢字にはふりがなが振られており、子どもにもお勧めだ 。(独ハノーファー=田口理穂)

『グレタのねがい 地球をまもり 未来に生きる』(ヴァレンティナ・キャメリニ 著 杉田七重 訳 増田ユリヤ 解説、西村書店)

グレタさんは人間の経済活動により、プラスチックが増えて海が汚染され、気温の上昇が続いていることに危機感を覚える。11歳でアスペルガー症候群と診断されたが、この症候群の特徴は一度考え始めると頭からこびりついて離れないのだという。

2018年に15歳で、 首都ストックホルムの国会議事堂の前にひとりで座り、地球温暖化を阻止する行動を政府に求めた。インターネットを使って発信により賛同者が集まり、「未来のための金曜日」運動として他国にも広がった。本書はグレタの活動の内容を時系列で説明し、その広がりと社会への影響をまとめている。

私の住む北ドイツのハノーファーでも月に一度金曜日、子どもたちが5、6時間目をさぼってデモに参加するようになった。2019年9月にはハノーファーだけで3万人、ドイツ全土で30万人以上が参加した。

若者だけでなく、老若男女がわいわいがやがや集まり、すごい熱気だった。若者たちが生き生きとし、かつ堂々と地元の政治家たちとやり取りする姿には希望を持った。

多くの若者が気候変動に興味を持つようになったのが、グレタさん最大の功績だろう。現在、欧州では新型コロナウイルスの影響で大人数が集まるデモは禁止されているが、ネットで「未来のための金曜日」運動が続けられている。

以前は飛行機雲をよく見かけたが、ここのところさっぱり見かけない。新型コロナウイルスの影響で経済活動が低迷し、飛行機や車の利用も減った。空気や川はきれいになった。

実際のところ気候変動も新型コロナウイルスも、人類への危機であることには変わりないが、なぜ気候変動には大きな措置が講じられないのか。気候危機は「可視化」が難しい面もあるからだろう。洪水や猛暑など異常気象が頻発しているが、長期間の気候の変化を理解する必要があり、分かりにくい。コロナと気候危機、人類はこの2つの危機に直面している。

2020年5月14日(木)7:00

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