オルタナ8号(2008年7月発売)

オルタナ No.8 Jul 2008第一特集

森林ビジネス 今がチャンス

国土の68%、先進国ではフィンランドに次いで2位の森林率を誇る日本。だが国内の林業は輸入材に押されて長く不振が続く。その結果、「放置林」が増え、森林が荒廃しただけではなく、京都議定書のCO ₂削減目標を達成する上でも大きな問題をはらむ。いま木材の国際価格が高騰し、国内林業は再生のチャンスを迎えた。好機を生かせるかは地元のやる気とアイデア次第だ。

第二特集

自転車 危うい「ブーム」

「環境に優しい」「健康に良い」などというフレーズに乗って、自転車が脚光を浴びている。書店の棚に並ぶ自転車雑誌の数は増え、一般情報誌から女性誌まで「自転車特集」というタイトルが踊る。「自転車ブーム」とまで言われる昨今だが、実情は必ずしもそうではない。自転車を単なるブームに終わらせず、本当に環境や健康に配慮した交通手段として定着させるためには、どうしたら良いのだろうか。

第三特集
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検証・カーボンオフセット

「カーボンオフセット」商品が花盛りだ。自らの活動で排出した二酸化炭素(CO²)を排出権の購入などで差し引きゼロにし、手軽にCO²排出量を減らせる手段として注目されている。だが「免罪符的に使われているのではないか」「CO²の価格設定が不透明」という批判も聞こえてくる。カーボンオフセットを正しい形で社会に定着させ、本当にCO²削減につなげるには、何が必要なのか。

alterna person
アンドレアス・カールグレーン(スウェーデン環境大臣)

低炭素夜会は成長の条件

スウェーデンは1990年以降、「持続可能性」をキーワードに、成長しながら温室効果ガスの排出を減らす低炭素社会づくりで先陣を切ってきた。炭素税、排出権取引、自然エネルギーの活用︱。アンドレアス・カールグレーン環境大臣は、これらの施策を「先に始めること」が重要だと説く。

photo gallery
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アンコールワットの少女
civilization
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オルタナティブ文明論:なぜ、世界は、生命論的な文明に向かうのか

第1回においては、東洋の生命論的な文明が復活し、西洋の機械論的な文明と融合していくと述べた。では、なぜ、これからの時代、東洋の生命論的な文明が復活してくるのか。

alternative company
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オークヴィレッジ:循環型社会へ森の恵みを生かす

岐阜県高山市に、ショールームや木工芸品の博物館などをもつ「オークヴィレッジ」は、国産の木材で「お椀から建物まで」幅広く手掛けている珍しい企業だ。石油のように枯渇しない木材の有効活用で、温暖化の原因の一つであるCO²の吸収量を一定に保ち、循環型社会を目指すというメッセージの発信にも力を入れている。

marketing
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もう一つのブランド論:身近なことが人を動かす

企業が環境活動について語るとき、現代の情報化された生活者は「キレイゴト」と「ホンネ」を敏感に嗅ぎ分ける。例えば、飲料メーカーがいくら「地球にやさしい」と喧伝していたとしても、「そもそも、あなたの会社名がデカデカと書かれた自動販売機を24時間営業させていて、やさしいんですか」と興ざめする人は少なくないだろう。

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リレートーク:住友信託銀行企画部 CSR担当部長 金井 司さん

仕事の関係で、3月まで経済同友会の2007年度社会的責任経営委員会の事務局を努めました。同友会は早くから企業の社会的責任論を唱え、CSRについても議論をリードしてきた経営者団体です。CSRに取り組む企業は増えてきましたが、昨年度の同委員会の議論では、日本企業のCSRは必ずしも順風満帆ではない現実の一端が明らかになりました。

CSR経営論:エコが招く思考停止

「エコ」「地球にやさしい」「環境負荷低減」といえば、何となく意図が通じる便利なキーワードである。だからこそ、そろそろ「エコ」という類の言葉は陳腐化する、と私は考える。

CSR2
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ジョン・ウッドからの手紙:「チャプター」が成功を支える

世界をより良くするために、信じられないほど大きな成果を上げている数多くの慈善団体があります。資金源や規模はさまざまですが、それぞれ独自のやり方や成功の要素を持っています。

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NPOフロンティア:地雷除去NGOはなぜ解散したか

「私の夢。それは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がなくなること」。緒方貞子さんが国連難民高等弁務官を務めていたころの口癖だ。紛争が起こるから難民が出る。平和な時代には難民はいなくなりUNHCRは必要とされなくなるという意味である。もちろん実際には、そんな事態になっては困るのだが、難民を生む国家のエゴと、それにちゃんと対応できないガバナンスの弱さを考えると緒方さんの言葉は重い。

news scramble
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テント生地からエコバッグほか

 産業資材、テント、インテリアなどの分野でものづくりをしてきた1925年創業のミヤハン(東京都千代田区)。倉庫に30年間眠っていたフランス製のテント生地を利用して、セミオーダーのエコバッグの製作を始めた。特注家具とバッグのブランド「so,what」のオーダーメイドシリーズだ。

news edge
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独にバイオマス液化燃料施設ほか

ドイツのコーレン社は、バイオマス液化燃料(BTL)の商業生産施設を、ザクセン州フライベルク市に完成した。記念式典には、メルケル首相も参加した。同施設のBTL生産量は年間最大1800㌔㍑で、車1万5千台分の燃料の年間需要に相当し、年間6万5千㌧の廃木材などが原料として使われる。

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藤井教授の環境金融論:盛り上がり欠くエコファンド

投資の視点から企業の環境配慮度合いを見定めるのがエコファンド。1999年に日本市場に登場してから、今年で10年目に入る。ただ、節目を祝うには今ひとつ盛り上がりに欠ける。

私のエコひいき:マイバッグ・マイ箸の次は

このところ、レジ袋を有料化するお店が全国に広がってきました。皆さん、淡々とマイバッグを使い始めているようです。割り箸についても、国産材のシェアが低いこと、竹箸での防腐剤の使用が問題視されるようになり、マイ箸を持つ人たちが徐々にではありますが増えてきています。

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オルタナティブな空間:ロンドン郊外に持続可能な街づくりを見る

ロンドンに行ってきた。その目的の一つが郊外の街、レッチワースを訪れるためだった。何の変哲もない穏やかで美しい街である。しかし、ここは現代の都市計画の歴史上、非常に重要な意味を持つ街だ。

food
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グリーン・ミシュラン:ナチュラル・チャイニーズ・エッセンス

東京メトロ・外苑前駅近く。青山通りから小道に入ると、中華料理店「ナチュラル・チャイニーズ・エッセンス」がある。カフェ風のカジュアルな店構えだが、薬膳をテーマにした、食材にこだわる本格的な中華料理店だ。

グリーン・グルメ・ガイド:マルサヤ「本枯本節二年物」ほか

本物の食材にこだわり続け、各地の産地から鰹節を直接仕入れている専門問屋マルサヤ。そこが追及した鰹節が「本枯本節二年物」だ。

health
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KIYOの哲学 実践編:ヒヨコマメのディップ

英国ではチックピー(chickpea)と呼ばれ、フランスではポワ・シシュ(pois chiches)という名で、イタリアではチェーチェ(cece)、スペインでガルバンソー(garbanzo)、はたまたインドではチャナ豆(chana)、そして世界の多くの地域でエジプト豆と称されるひよこ豆。スープにサラダ、ディップ、カレーをはじめとする様々な煮込み料理と、様々な用途で使われるのだが、それもそのはず。

Dr.井上の健康方程式:豆が人を救う

豆は人間で言えば受精卵である。生命の本質は分化にある。たった一つの受精卵が、分裂を繰り返し、60兆個の細胞集団になる。それが人間である。受精卵は、万能である。受精卵には無限の可能性がある。

culture
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映画「コーヒー市場、あまりにアンフェア」

普段あなたがカフェで飲んでいるトールサイズのコーヒー1杯の価格を、たとえば330円だとしよう。そのうちカフェなど小売、焙煎、輸入業者には約90%の298円が、輸出業者や生産地の貿易会社には7%の23円が懐に入る計算だ。

本『花粉症は環境問題である』

花粉症は「国家の犯罪」だ
花粉症の原因はディーゼル排気物質という説がありますが、そうではありません。スギ花粉が原因です。

dialogue
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田口ランディ連載「エゴからエコへ」
オルタナの有料化に思う

ルタナ」が有料化された。 編集長からのメールで有料化に踏みきる経緯の説明を受けたとき、個人的には有料化には反対の立場を示した。なんとか当初のもくろみ通り登録会員に対して無料配布、というシステムで維持できないものだろうか、と思った。

reportage
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ハングリー・フォー・ミッション:第三世界の窮状、仲間に伝えたい

今回取り上げたのは、東京大学の学生が中心になって編集・発行しているフリーペーパー「vista」。創刊は、オルタナとほぼ同じ、昨春だ。雑誌のつくりや文章はまだまだ荒いが、彼らの熱気はひしひしと伝わってくる。なかなか、やるじゃないか。一体、どんな奴らが作っているのだろうと、会って話を聞いた。

travel
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フランス・シャトーホテル巡り:聖女の名前を戴く城

白い牛が草を食む牧歌的な風景が広がるブルゴーニュ地方。人口わずか170人ののどかな村に不釣合いなほど堂々とした城だ。窓の外に見えるのはゴシック様式のサント・サビーヌ教会(13世紀)である。

shop & goods
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一貨店礼賛:ティー・ミュージアム

一貨店とは、百貨店の対極にあり、独自のこだわりから一つの分野において圧倒的な品揃えで勝負する、商いの形
赤い扉や窓枠が目を引く、アンティークショップのような店構え。世界各国から集められた約50種類のお茶やハーブティーの専門店「ティー・ミュージアム」が人気を集めている。

デザインコンシャス:木ーボード

越前漆器の技術がパソコン周りを彩る
1500年もの歴史を持つ、越前漆器の技術が、パソコンやデスク周りの小物づくりに生かされた。このシリーズ「Hacoa」は、山口工芸(福井県鯖江市)が2005年に立ち上げた、木製製品のデザイナーズ・ブランドだ。

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