ドイツ鉄道 脱原発で水力発電にシフト

ドイツ鉄道(ドイチェ・バーン)は水力発電によるグリーン電力を列車運行に積極利用するため、電力大手のRWEと13億ユーロ(約1456億円)規模の契約を締結した。

同社は2014年から28年までの15年間、RWEの国内14カ所の水力発電所から年間900ギガワット時の電力供給を受ける。これは特急列車の年間使用電力の3分の1にあたり、ドイツ鉄道の消費電力全体の約8%を占める。平均家庭の年間消費電力に換算すると、25万世帯分に相当する。

水力発電は、大型ダムではなく、小さなダムの累積で出力している。例えば、モーゼル川流域の発電所には10カ所の小ダムがあり、設備容量は200メガワットだ。それぞれの高さは6~9メートル程度である。

ドイツ鉄道社長のリューディガー・グルーべ氏は「電車は環境に配慮した交通手段だが、今回の契約は特に節目となる出来事。2050年までに使用電力を100%グリーンにする目標に、また一歩近づいた」と話している。

ドイツ鉄道は国内最大の電力消費者。これまで使用電力の22%が原子力発電で供給されていたが、政府の原発廃止決定により代替電力を確保する必要が生じ、今回の契約に踏み切った。

現在、グリーン電力の比率は消費電力全体の20%弱だが、同社では水力発電の増強で2020年までに30~35%まで引き上げが可能と見ている。(ドイツ・デュッセルドルフ=田中聖香)

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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