釜石に仮設商店街オープン、女将の復興構想も一歩前進

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岩崎さんは、宝来館の再開のための資金繰りに奔走している。

東日本大震災で大きな津波被害を受けた岩手県釜石市で、被災した商店などが共同で営業を再開する仮設商店街が31日、同市鵜住居(うのすまい)町にオープンした。三陸有数の景勝地として知られる根浜海岸で被災した旅館「宝来(ほうらい)館」も食堂を出店し、復興に向けた一歩を刻んだ。

「ここからが始まり。こっからがんばって、浜に帰っぺし」

宝来館の女将、岩崎昭子さんはとびっきりの明るい笑顔で炊き出しを振る舞っていた。

今回の震災で、根浜地区は白砂青松の海岸とほぼすべての建物が波に流された。岩崎さんは宿泊客や近所の人を引き連れて間一髪で高台に避難。1963(昭和38)年創業の宝来館は4階建ての建物の骨組みこそ残ったが、2階まで浸水した旅館の営業は当面あきらめざるを得なかった。

仮設商店街は、鵜住居町内に店を構えていた理髪店や酒屋、パン屋など9店舗が2棟のプレハブに入居する形で実現。岩崎さんは震災前からあった宝来館の食堂「ごはんや松の根亭」を出店した。「前日に冷蔵庫が来た」という慌ただしさだったが、初日から馴染みの客や友人たちがひっきりなしに訪れ、「よかったね」「待ってたわ」と声をかけられる人気ぶり。店舗の入り口には出演したテレビの視聴者から贈られたという「宝来館 おかみさんのファン一同」の大漁旗がはためていた。

「森は海の恋人」運動に共感していた岩崎さんは、浜だけでなく川や山が一体となった復興構想を呼びかける。名付けて「どんぐりウミネコ村」構想。オークヴィレッジの稲本正さんらも協力し、海岸のドングリを拾い集めて全国各地で苗木を育ててもらう活動などもスタートさせた。

しかし、一度バラバラになった地域のきずなを取り戻す道のりはまだ長い。

「まずは宝来館を再開させて『ふるさと』に戻ってきたと思えるような場所をつくりたい。全国の人にも泊まりに来てもらって、どうしたらいいか一緒に考えてほしい。いま必要なのは企業の人の協賛と、若い人の知恵」

宝来館は年内の改装オープンを目指して工事が進んでいる。(オルタナ編集委員=関口威人)

 

2011年11月1日(火)10:25

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