沖縄戦PTSD「トラウマ語れる社会に」

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太平洋戦争末期の沖縄戦で受けた心の傷が、60年以上たった現在になって心身の不調となって現れる「晩発性PTSD」が注目を集めている。この問題に取り組む精神科医の蟻塚亮二氏が16日、インターネット番組に出演し、「心の傷を抱えた人がトラウマを語れるよう、社会がサポートすることが大事だ」と話した。

蟻塚亮二医師(左)。隣は沖縄オルタナティブメディア代表の西脇尚人氏

沖縄戦を生き残った住民の間で、高齢期になって生じる不眠やうつなどの原因不明の心身の不調が、凄絶な地上戦の記憶がもとで生じる「晩発性PTSD(トラウマによるストレス障害)」によるものではないかとして、現在関心が寄せられている。

晩発性PTSDでは、青年期には仕事や家事などによって抑え込まれていた心の傷が、ゆとりが生じる老後に顕在化する。特に幼少期に沖縄戦を体験した人は、その体験を言葉に置き換えることができずにトラウマとなりやすく、心身の不調に襲われても、原因が戦争体験による心の傷とは気付きにくいという。この問題は12日にNHK番組「ETV特集」でも取り上げられた。

同問題に取り組む沖縄協同病院の蟻塚医師は16日夜、沖縄県内の市民メディア「沖縄オルタナティブメディア」が制作するユーストリーム番組に登場。この中で同氏は「行政や世論が『住民虐殺はなかった』などとなると、戦争のトラウマを抱える人は記憶を語れない。世論が戦争記憶を語れるようにサポートすることで、トラウマは癒される」と述べ、沖縄戦にともなう晩発性PTSDへの社会的支援が大事との考えを示した。

また蟻塚医師は「震災体験者が60年後、晩発性PTSDに苦しむことも考えられる。例えば福島や、世界の紛争地域で今後、沖縄での経験が生きるのでは」と語り、晩発性PTSDに直面する沖縄県民の経験を共有する必要性を説いた。

蟻塚医師の取り組みも紹介するETV特集の番組は19日深夜に再放送される。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年8月17日

2012年8月17日(金)16:50

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