ガザ地区で活動する医師やNGO職員ら「一刻も早い停戦を」

記事のポイント


  1. ガザ地区で人道支援を行う人たちが命の危険にさらされている
  2. 4月2日には食料支援のNGO職員7人がイスラエル軍の空爆で死亡した
  3. 現地で活動を続ける複数の支援団体は武器供給の停止と即時停戦を訴える

ガザ地区で人道支援を行う人たちが命の危険にさらされている。4月2日には食料支援のNGO職員7人がイスラエル軍の空爆で死亡した。現地で活動を続ける複数の支援団体は4日に会見を開き、武器供給の停止と一刻も早い停戦を訴えた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

複数の人道支援団体は4月4日に会見を開き、ガザの窮状を訴えた
複数の人道支援団体は4月4日に会見を開き、ガザの窮状を訴えた

ガザ地区は、イスラエル、エジプトに挟まれ、地中海に面する地域だ。1993年のオスロ合意に基づき、ヨルダン川西岸地区とともに、「パレスチナ自治区」になった。ガザ地区には、約220万人が暮らしていた。

ガザの保健省によると、2023年10月に戦争が始まって以来、ガザ地区で殺害された人は3万2000人を超えた。子どもたちも1万4000人以上が犠牲になっている。

食料不足も深刻で、60万人が飢餓状態にあり、栄養失調や脱水症状による死者も出た。同時に、ガザで人道支援を行う医療従事者やNGO職員たちも命の危険にさらされている。ガザ最大の病院も破壊された。

「毎晩、空爆が続く。目に入るのは破壊された家や通りに並ぶ小さなテント。食料不足も深刻だが、子どもたちのメンタルヘルスも大きな問題だ。多くの人たちがうつ状態に陥っている」。こう話すのは、セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルのキャリン・ビーティ氏だ。1月からガザ地区ラファで、人道支援を行っている。

一週間前までガザの病院で医療支援を行っていた小児科医ターニャ・ハジ・ハッサン氏は、「子どもたちまでターゲットにされる状況は、到底、正当化できない。見分けがつかないほどの火傷を負ったり、身体の一部を失ったりした人たちが日々運ばれてくる」と窮状を語る。

医療従事者も狙撃されたり、拘束されて身体的・精神的・性的虐待を受けたり、常に狙われているという。負傷者に治療を施す医療従事者は、イスラム組織ハマスの一員だとみなされるからだ。

国連安全保障理事会は3月25日、ガザ地区での即時停戦を求める決議案を可決した。しかし、イスラエル政府は軍事作戦を拡大する意向だ。

国境なき医師団(MSF)会長のイザベル・デフルニー博士は、「イスラエルは、人命を救う人道援助を阻止し続けている。次々に病院が破壊され、機能はほぼない。食料や生活インフラも、はく奪した。これは『ジェノサイド』だ。私たちは、イスラエルへの武器提供を停止と、一刻も早い停戦を求める」と訴えた。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #ビジネスと人権

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