淡い水墨画風、蝶の羽を両足に模したデザイン――。画家、詩人、ミュージシャンなど、ジャンルを問わずアーティストたちと交流し制作する「アートタイツ」が人気を集めている。アートディレクターの菅井葉月さんが手掛ける「tokone(トコネ)」(東京・渋谷)は、義足や傷、しみなどコンプレックスをチャームポイントに変えるユニバーサルなタイツブランドだ。(ライター・遠藤一)
菅井さんがトコネを立ち上げたのは1年前の11月11日、靴下の日。
「売られているタイツに飽きたんです。自分が履いてみたいと思えるタイツがほしかった」と菅井さんは言う。
トコネの商品は、既存の作品を単にプリントするのではなく、タイツというコンセプトの元、アーティストたちが一から作り上げてゆく。現在20人、34種類のラインナップがあり、国内外のセレクトショップに置くほか、オンラインの販売が中心だ。
幼少時をアメリカで過ごした菅井さんは、帰国し小学校へカラフルなスパッツを履いてゆくとからかわれ、いじめにあった。社会人になり、同年代向けのファッションカタログ作りに携わると「今はこれが流行っている」と経営陣の中高年男性が現場を仕切り疎外感を持った。
ある時テレビでカラフルなタイツ着用、虹色の髪の作家志茂田景樹さんを見た。
「好きなもの好きと言って、身につけて堂々としていいんだ!」と悩みを吹き飛ばされた。
自分の好きなタイツが主役のファッションシーンを作ろう。トコネブランド第一弾は、ブルーやピンクの水滴が重なり合うような「KAMINARI」。志茂田さんをオマージュして菅井さんがデザインした。