記事のポイント
- 世界の過半数の投資家は米政権の気候政策の揺り戻しを短期的な障害と捉える
- グローバル資産運用大手のロベコが調査で明らかにした
- 米国向けの気候変動関連投資を、米国外の企業に振り向ける投資家も
世界の過半数の投資家は、米トランプ政権によるエネルギー政策を、長期的なネット・ゼロに向けた「短期的な障害」と捉えている。グローバル資産運用大手のロベコが、投資家を対象とした調査で明らかにした。それによると、欧州・アジア太平洋地域の投資家の約6割は、気候政策の不確実性が増す米国での気候関連投資を見守りつつ、脱炭素の取り組みが先進的な米国外企業へと振り向ける計画があると回答した。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

グローバルな資産運用会社のロベコは6月3日、世界の投資家を対象とした「2025年グローバル気候投資調査」結果を公表した。北米、南アフリカ、欧州、アジア太平洋地域の約300の投資家が回答し、その資産運用規模の合計は31.2 兆ドル(約4500兆円)に上る。
調査結果によると、気候変動を投資方針の中心的な要素と位置付けていると回答した投資家は、北米では23%と1年前の35%から大きく減少した。背景には、米国トランプ政権下で、気候政策の不確実性が増していることがある。
一方で、欧州、アジア太平洋地域ではそれぞれ62%、59%と、約6割の投資家が気候変動を投資方針の中心的な要素と位置づけていると回答した。
トランプ大統領の化石燃料推進・反クリーンエネルギー政策については、回答した投資家の56%が、「ネット・ゼロへの移行達成に向けた世界的な進捗を後退させるものの、これは一時的なものであり、米政権交代後には再開される」と予測する。
■脱炭素進める米国外企業は投資呼び込むチャンスに
投資家の59%は、トランプ政権下の政策や規制の影響を受けうる資産への投資に関して、決断を下す前に米国の情勢を見守りたいと回答した。
その結果として、欧州投資家の58%ならびにアジア太平洋地域の投資家の62%は、資本を米国外の再エネや気候変動対策の進む企業へとシフトする計画にあると回答している。
一方で、地球温暖化の進行に対しては、回答者の半数近い44%の投資家が、今世紀中に産業革命前に比べて2℃以内の水準に抑えることは難しいとの見方を示した。
(編集協力:植松美海)