日工、従業員ウェルビーイング調査に「子どもからの見え方」

記事のポイント


  1. 日工は、従業員ウェルビーイング調査に「子どもからの見え方」を問う設問を加えた
  2. 同社は長時間労働などの課題を認識し、従業員のウェルビーイング向上に取り組む
  3. 子どもから仕事を評価されていると感じる従業員は、働きがいも高い傾向が見られた

土木用プラント機械メーカーの日工は、従業員ウェルビーイング調査に、子ども世代(自分の子以外を含む)との関わりの状況を確認する設問を加えた。調査から見えたのは、子どもから仕事を評価されていると感じる従業員ほど、仕事の楽しさや生活の豊かさを強く実感する傾向があることだ。次世代の視点を意識することは、従業員の働きがいや誇り、活力の源泉となりうることを示唆している。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

日工は、従業員のウェルビーイング調査に、子どもからの見え方を確認する設問を加えた

■インフラを守る現場に「働き方改革」

日工は、社会インフラに不可欠なアスファルト合材や生コンクリートの製造設備(プラント)を全国に展開する。日本の一般道路の7割、空港・高速道路の9割は、日工製プラントから生み出されている。

社会インフラを支えるだけに、ひとたび地震などの災害が起きれば途端に日工の現場は忙しさが増す。災害で壊れた道路が復旧しなければ、被災地との陸路は閉ざされたままだ。

能登半島地震の被災地に位置する日工のプラント(復旧後)
©日工

「災害が起きると、まずは道路復旧のために全国からメンテナンス職をかき集めて送り込む。当社のプラントが稼働しないと道路の復旧すら始まらないからだ」と、同社ウェルビーイング推進室室長を務める名取正夫参与はオルタナの取材に答えた。

実際、東日本大震災の時には、災害復旧対策に特化した部署を一つ立ち上げて24時間対応したと話す。

名取さん自身も、15年前の東日本大震災の発生時、立入制限区域となった福島県双葉町の工場に、「万が一のリスクを考えたら若い社員を送れない」と自ら志願し赴いた経験もある。

日工のウェルビーイング推進室の名取さん
東日本大震災直後には、福島第一原発から約6キロメートルの距離にある生コンクリートプラントに赴いた
© 日工

「非常に人力に頼らざるを得ない仕事だが、働き方改革も必要と認識している。現場は大変だが、非常に高いモチベーションで働いてくれており、頭が下がる思いだ」と話す。

■社長肝煎りで従業員のウェルビーイングに取り組む

日工は、土木用プラント機械メーカーというニッチな業界で、営業から製造・設計・組み立て・メンテナンスまで、すべてを自社の従業員が手掛ける。そこが同社の強みでもある一方、顧客対応が必要な組み立てやメンテナンス業務は、労働時間が長くなりがちだ。24時間稼働している顧客もあり、顧客からの要望には、夜中でも休日でも対応せざるを得ない。

こうした長時間労働を是正するため、働き方改革・人事制度改革を2021年から進めてきた。夏季の酷暑のさなかでも作業をしなければならない従業員には、扇風機付きの作業着や熱中症アラーム付き腕輪を支給するなど、従業員の安全と健康を守る体制強化にも努めてきた。

同社は、従業員の長労働時間を課題と認識し、2023年、社長の肝煎りでウェルビーイング推進室を発足させた。

「従業員のウェルビーイングの実感・働きがいの向上」は、同社が2030年の長期ビジョンに向けた人的資本戦略の一つだ。「入社3年後離職率7%」「育児休業取得率女性100%・男性(2025年目標)50%」「ウェルビーイングアンケートスコア全項目平均8.0ポイント」など、具体的なKPI目標を掲げて取り組みを進める。

■感謝の声と誇りが従業員の「働きがい」を高める

ウェルビーイング推進室の発足後、全国を回って現場の従業員にヒアリングをした名取さんは、「すごく忙しい現場ほど疲弊しているに違いないと思っていたが、実際は違った。お客様から直接届く感謝の声、日本の国土を支えていることへの誇りなど、忙しい部署の従業員ほど、働きがいを感じ、ウェルビーイングアンケートスコアが高かった」と振り返る。

2024年からは、この「働きがい」に着眼し、働きがいの阻害要因を取り除く施策の検討も始めた。ヒアリングを通じて、「感謝」を伝えられることが、働きがいを阻害しない効果として高かった。社内でも例えば、支店長が頑張った従業員にねぎらいの言葉をかけるだけで、働きがいは大きく変わる。

一方、「働きがいや使命感が強い分、働きすぎてしまう人もいる。仕事が忙しすぎて、家庭内での会話が十分できていない人もいる。働きすぎて家族をほったらかしにして良い時代ではない」(名取さん)

そこで2025年5月には、毎年のエンゲージメント調査に、子どもとの関わり(自分の子以外を含む)を確認する設問を加えた。

■新たに盛り込んだ「子ども」に関わる3つの設問とは
■「女性も働きやすい労働環境にしていきたい」

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

執筆記事一覧
キーワード: #ウェルビーイング

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。