記事のポイント
- リコーは12月7日、バーチャルPPAの仕組みで再エネ電力を調達すると発表
- バーチャルPPA(仮想電力購入契約)は2022年に始まった新しい電力形態
- 再エネ電力の「環境価値のみ」を非化石証書などで調達する手法だ
リコーは12月7日、バーチャルPPA(仮想電力購入契約)の仕組みで再生可能エネルギーを導入すると発表した。バーチャルPPAは2022年から始まった新しい電力形態だ。需要家の敷地外にある発電所で発電した再エネ電力の環境価値のみを調達する手法だ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

リコーはこのほど、発電事業者の上里建設(埼玉県本庄市)とバーチャルPPA(Virtual Power Purchase Agreement:仮想電力購入契約)を締結した。リコーとしてはバーチャルPPAの契約は初となる。
同社では2017年4月に日本企業で初めて「RE(アールイー)100」に加盟した。RE100は事業活動で使う電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることを目指す国際イニシアティブだ。
今回締結したバーチャルPPAの再エネ電力量は約2.24GWh/年。年間のCO2削減効果は約992トンを見込む。グループ全体の使用電力量(2021年度)の約0.5%に当たる。
■バーチャルPPAは売電収益を長期で固定化
バーチャルPPAはPPAと何が違うのか。PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)は、企業が導入する場合、「コーポレートPPA」と呼ぶことがある。
コーポレートPPAは2種類ある。「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」だ。オンサイトPPAは、需要家の敷地内に建設した発電所から電力を長期で調達することを意味する。オフサイトPPAは需要家の敷地外の発電所から電力を調達することを指す。
そして、このオフサイトPPAは「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」に分かれる。フィジカルPPAは電力と環境価値を一緒に取引するが、バーチャルPPAは電力と環境価値を分離して取引できるのが特徴だ。
需要家の敷地外にある発電所で発電した再エネ電力の「環境価値のみ」を非化石証書などで需要家が調達する仕組みだ。発電所が新設である場合、需要家は「追加性」のある形で安定的に再エネの導入ができることがメリットだ。
バーチャルPPAは発電事業者にとってもメリットがある。この仕組みでは、発電事業者は、電力を卸電力市場に売却する。
通常は市場に売却すると、市場価格によって収益は変動するが、バーチャルPPAでは収益を長期で固定化できる。発電事業者と需要家の間にいる小売電気事業者が固定価格と市場価格の差額を支払う仕組みになっているからだ。
日本ではフィジカルPPAが増えてきたが、新しい電力形態である「バーチャルPPA」が注目されている。