記事のポイント
- 帝国ホテルがこのほど「第4回 食のサステナビリティフォーラム」を開催した
- 同社は食品ロスの削減や未利用魚の活用など、食のサステナビリティに取り組んでいる
- 杉本雄総料理長は、「生産者の思いや価値を料理にのせて届けることが使命だ」と語った
帝国ホテルがこのほど「第4回 食のサステナビリティフォーラム」を開催した。同社は、食品ロスの削減や未利用魚の活用など、食のサステナビリティ(持続可能性)に取り組んでいる。全国各地の生産者を訪問している同社の杉本雄総料理長は、「生産者の思いや価値を料理にのせて届けることが使命だ」と語った。(オルタナ輪番編集長・吉田広子)

「現場に行くと、生産者が思いを持って生産していることや、その裏に大きな苦労があることがよく分かる。さらに、食品ロスの問題が想像以上に大きいことにも気付く。一方で、生産者にはなかなかスポットライトが当たらず、私たち料理人が注目されることが多い。最も重要なのは食材一つひとつで、私たちは最後の数%に手を加えているに過ぎない」
こう語るのは、杉本総料理長だ。帝国ホテルは、「おいしく社会を変える」を掲げ、食のサステナビリティに取り組んでいる。これまでに、耳まで白く柔らかい食パンや、ジャガイモの皮などを有効活用した「サステナブルソルト」などを開発した。
未利用魚や経産牛(出産を経験した雌牛)など、これまで十分に価値が認められてこなかった食材の活用も進めている。
杉本総料理長は、農水省が策定した持続可能な食の行動指針「シェフズ・サステナビリティ・マニフェスト」にも賛同。「生産者の思いを料理にのせて、お客さまに届ける。料理人としては、当たり前のことだが、それを料理で実現していきたい」と語る。
■ 料理の技術で「刷り込まれた価値観」を払拭したい
こうした取り組みの一環として、杉本総料理長は3月、特別ディナーイベント「さんせりて」を開く。香川県・小豆島で出合った食材を使ったコースを提供し、生産者の魅力を伝える。
小豆島は1908年、日本で初めてオリーブ栽培に成功した「国産オリーブ発祥の地」で、日本有数の生産地として知られる。「さんせりて」では、オリーブ粕などを飼料に育った「オリーブ牛」や生そうめんなどの食材を、フランス料理に仕立てる予定だ。
杉本総料理長は、「オリーブオイルは、料理に寄り添う名わき役。小豆島のオリーブオイルは、フレッシュな青いジュースのような主役になれる個性がある」と説明する。
杉本総料理長が各地の生産現場に足を運ぶ背景には、強い危機感がある。
「日本には、どうしても『A5ランク』『天然至上主義』『形がきれいで甘い野菜がおいしい』といった刷り込まれた価値観が根付いている。その結果、食品ロスの問題も生まれている。一次産業の生産者を取り巻く現状も厳しい。私たち料理人は、料理の技術でおいしく仕立て、生産者や食材の本来の価値を伝えていくことが使命だ」
同社は今後、ディナーイベントにとどまらず、オンラインモール「アナザーインペリアルホテル」でも、各地の生産者とのコラボレーションを展開していく予定だ。



