記事のポイント
- サステナ経営塾21期下期にSOMPOホールディングスの市川サステナブル経営推進部長が登壇した
- MYパーパスで社員の内発的動機を引き出し、対話を通じて行動変容を促進
- サステナビリティの経営統合には、社内外のステークホルダーとの対話が重要
オルタナは12月17日、サステナ経営塾21期下期第3回を開いた。第3講にはSOMPOホールディングスの市川アダム博康サステナブル経営推進部長が登壇し、「ステークホルダーとの対話を通じたSOMPOのサステナビリティの取組み」と題して講義した。講義の要旨をまとめた。
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・SOMPOホールディングスは1888年に日本初の火災保険会社として設立され、「火消しの精神(お客様第一)」を原点に持つ。現在はパーパスとして「安心・安全・健康であふれる未来へ」を掲げ、損害保険(P&C)に加え、生命保険や介護、ヘルスケアなどウェルビーイング領域にも事業を広げている。
・2010年からサステナビリティを担当している市川部長は、「ステークホルダーとの対話を通じた取組み」を重視していると強調した。サステナビリティ領域は「答えがない分野」であり、多様な立場の意見から最大公約数を導き出し、前に進めていくことがカギを握るという。
・同社は1992年に国内金融機関初となる「地球環境室」を設置したのを皮切りに1997年のISO14001(環境マネジメントシステム)認証取得を経て、金融機関として初の環境レポートを発行するなど、業界に先駆けた環境への取組みを行っている。自社の環境活動やGHG(温室効果ガス)削減の考え方を社外に開示し、NPOなど多様なステークホルダーと意見交換しながら、改善のためのフィードバックを得てきた。
・さらに、2010年頃からISO14001の枠組みを活用し、「サステナビリティ・ダイアログ」を独自に構築。年2回の「サステナビリティ・ディベロップメント研修」では、有識者を招いて学びを深め、商品・サービス開発にもつなげる体制を整えてきた。市川部長は「基本サイクルとして、『開示→対話→取り組み向上』を繰り返すことが重要だ」と語った。
・同社は国連の持続可能な保険原則(PSI)などを踏まえ、気候領域での取り組みを整理し、グループ方針として「SOMPO気候アクション」を打ち出した。適応・緩和に加え、社会の変革(トランスフォーメーション)への貢献を重視し、保険引受や投融資の方針も公表している。2024年度には300社以上の投融資先・保険引受先との対話を実施し、企業の役割や協業等について議論した。
・投融資ポートフォリオのGHG排出量削減目標については、M&Aなどの影響で事業が成長しても取組みの品質を高度化することを目的に、単純な総量目標だけではなくインテンシティベース(投資額あたり)の考え方を取り入れる目標など、現実的に前進するための設計変更も行った。ルールメイキングの場への参画も含め、実装重視の姿勢を示した。
・社内推進体制としては、取締役会の下でグループ横断の協議会や各種ワーキンググループを設け、テーマごとに対話しながら推進している。マテリアリティについては、議論を複数回繰り返してきた経緯を踏まえ、従業員の腹落ちや組織課題との接続を重視した浸透活動を行っていると説明した。
・社員の内発的動機からチャレンジを引き出す仕組みとして、市川部長は「MYパーパス」の重要性を語る。会社のパーパスと個人のパーパスを重ね、対話を通じて行動変容につなげることが、サステナビリティ推進の原動力になるという。さらに、MYパーパスに基づき、SOMPOのパーパス実現につながる取り組みをたたえるグループ横断の表彰制度「SOMPOグループアワード」を立ち上げ、一体感や多様性を実感できる機会の創出を目指す。
・市川部長は、「サステナビリティの経営統合には、経営陣との対話・巻き込み、社員の思いを行動につなげる仕組み、社内外のステークホルダーとの対話が不可欠だ」とまとめた。非財務を財務価値に「明確につなげきれた事例は少ない」と率直に話しながらも、「つなげられるという信念を持って継続する姿勢が重要だ」と強調した。



