タイ大洪水は、大潮のピークを過ぎ洪水が収束に向かうであろうという見方がされている。
だが一方で、バンコク市内では依然、浸水地域もあり、一進一退で予断を許さない状況に緊張と不安が続いている。
そんななか、洪水の直接的被害を受けてない地域でも物不足などが徐々に深刻になり、洪水による混乱がタイ国内で広がりを見せている。
バンコクの南東90キロに位置するシラチャ。1990年代までは漁村として栄えてきたこの町は、イースタンシーボード、アマタなどタイの新興工業団地の発達と共に日本企業の進出を受け、日本人在住者の増加が著しい。
今回の洪水による影響で、シラチャと近郊のパタヤではバンコクからの避難者が増え、ホテルは部屋の確保が困難だったり、交通量の増加による渋滞も各所で起こったりしている。
スーパーやコンビニでは、水や米、油、卵、インスタントラーメン、紙製品などが軒並み品薄で、入荷されてもすぐに品切れとなるなど、日常生活にも影響を与え、先の見えない状況に不安の声も上がっている。
また、洪水の長期化と共に心配されるのが感染症の流行だ。元々、タイではデング熱やインフルエンザなどの感染症が一年を通じて流行し易い上、今回の洪水で赤痢やA型肝炎、破傷風といったさらなる感染症の流行が懸念され、日本大使館でも注意を呼びかけている。
(タイ・パタヤ=原美和子)