19歳で起業、重度障がい者の社長が問う「働く意味」

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『働く、ということ 十九歳で社長になった重度障がい者の物語』の表紙

愛知県東海市でホームページや名刺を制作している合同会社仙拓は、2011年4月に社長の佐藤仙務(ひさむ)さん(21)が友人と2人で立ち上げた会社だ。

19歳で起業した佐藤さんだが、今日ではその若さは珍しくはない。

一つだけ他社と大きく異なるのは、佐藤さんが10万人に1人の難病といわれる脊髄性筋萎縮症という障がいを持っており、共同経営者の友人・松元拓也さん(24)も同じ病の重度障がい者である点だ。

■ 「寝たきり」で会議や講演もこなす

この病気では、筋肉がどんどん萎縮し、何をするにも介助が必要となる。自力で立ち上がることも歩くこともできない。今日では、口が動く以外は、左手の親指が数ミリ、右手の親指が1センチ動かせるだけだ。

それでも、右手用と左手用のマウス操作と会話、顔の表情を駆使して営業や打ち合わせを行い、制作業務は松元さんが請け負っている。スカイプ講演にも応じている。

「寝たきり社長」を自称する佐藤さんは、起業の理由をこう説明した。

「僕のような病気の人は助けがなくては生活できない。会社に通勤することすらできないのです。だから能力はあっても企業に就職することをあきらめなければいけない。働くという普通のことがなかなか手に入らないのです。それが納得いかなくて、同じ病気を持つ友人と相談しているうちに、それなら僕たち一緒に会社を作ろうかと」

最初は知り合いへのコネ営業に頼っていたが、地元メディアへアピールして知名度を上げ、続々と仕事を受注し始めている。

■ 周りの人と関係築くことが「働く意味」

そんな佐藤さんが昨年末、初の著作となる自叙伝『働く、ということ 十九歳で社長になった重度障がい者の物語』(彩図社)という本を執筆、出版した。

その本には、こう書かれている。

「今までは働くとはお金を得ることだという考え方があり、その根底には誰かに求められてその人のために何かをするということがありました。でも、仕事をしていくなかで、それだけではない喜びや快感があったり、いろいろな人と出会う中で自分の人生の幅が広がっていく気がするようになったんです。だから、むしろそれを探して仕事をしたり、周りの人と関係を続けていくことが、僕にとって働くということかもしれません」

(今一生)

◆合同会社仙拓

2013年1月31日(木)11:59

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