核廃棄物の処理を政府に押し付けたい独電力会社

原子力発電は、1基あたり1日100万ユーロ(約1億4000千万円)利益が出るといわれるほどおいしい商売だ。しかし、福島原発事故をきっかけに停止が決まった原発を抱えているうえ、自然エネルギーを最優先するという法律や同エネルギーの固定買い取り価格制度(FIT制)により原発の出番は減ってきた。

しかも最終処分場の候補地探しも難航している。2013年にはエーオンの利益は半分に、RWEにいたっては初めて10億ユーロ(約1400億円)の損失を出すなど、収益を圧迫している。

原発一基を廃炉解体には、大きさによるが5億ユーロ(700億円)から10億ユーロと試算されている。そこに使用済み核燃料の処理費が少なくとも10億ユーロが加わるため、専門家によると総額250億ユーロ(約3兆5000億円)から430億ユーロ(約6兆円)になる。

ドイツは70年代から北ドイツのゴアレーベンを高放射性核廃棄物の最終処分場にしようと調査してきたが、2013年には決定プロセスが不透明だと白紙に戻り、ゼロから候補地探しをしている。

脱原発まであと8年。廃炉作業と核廃棄物処理が目前となり、なんとか責任逃れをしたい電力会社の姿勢に「利益は私企業、後始末は国に押し付けようというのか」とメルケル首相をはじめ、全政党が批判している。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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