連合はこのほど、「ディーセント・ワーク」に関するアンケート調査の結果を発表した。ディーセント・ワークとは「働きがいがある人間らしい仕事」と訳され、ILO(国際労働機関)が21世紀の実現目標に定める。調査では、ディーセント・ワークの実現には法制度の改正が不可欠と考える人が全体の半数以上を占めた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
調査は8月、18才から65才までの男女1千人を対象にインターネット上で実施。ディーセント・ワークの言葉と意味を知っている人はわずか1.7%にとどまった。一方、ディーセント・ワークについて説明した上で「働きがいがある人間らしい仕事」のイメージについて尋ねたところ、「人の役に立つ・貢献できる」と答えた人が191人で最も多かった。
そして、ディーセント・ワークを実現する上で重要な要素について問う質問では「労働環境・職場環境」と答えた人が50.3%で、これに「賃金」(44.1%)、「労働時間・休日日数」(42.4%)が続いた。
また、ディーセント・ワークの実現に最も必要な取り組みを聞いたところ「国や地方自治体による制度・法律の改正(法の整備)」と答えた人が52.1%に上り、全体の半数を超えた。さらに、ディーセント・ワークの実現で期待できる事への回答では「精神的に豊かな社会」「落ち着いた生活」「持続的な経済成長」「職場での女性の活躍拡大」が上位を占めた。
実際の労働環境では、従業員を違法な長時間労働などにより酷使する「ブラック企業」が社会問題となっている。また、企業が従業員に社会や人への貢献などといった「働きがい」を意識させる一方で賃金は安く抑える「やりがい搾取」も問題視されはじめた。
連合は政策提言で存在感を示すが、労働実態への対応は迅速なのか。連合の担当者は「労働環境の改善に向けて世論喚起を行いたい。さらに労働相談ダイヤルで個別相談を受け付けている」と話している。