ニホンオオカミ、今悔やまれる「不在」ーー私たちに身近な生物多様性(1)[坂本 優]

坂本 優
アサヒプロマネジメント株式会社 資料室&法務部
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ハイイロオオカミが生物多様性のキーになるかも知れない

ハイイロオオカミが生物多様性のキーになるかも知れない

2014年9月4日の朝日新聞などによると、絶滅したニホンオオカミは、ミトコンドリアのDNA解析の結果、日本固有種ではなく、世界中に広く分布するハイイロオオカミが、12~13万年前に枝分かれした1亜種であることが、岐阜大学の石黒直隆教授、松村秀一教授のチームの研究によってわかった、とのこと。(カルピス人事・総務部=坂本優)

かつて、ドールやリカオンなど、古いタイプの犬科動物に近い種類の動物とされてきた、ニホンオオカミについては、近年、アジアに広く分布するタイリクオオカミの1亜種とする説が学会でも実質多数を占め、いずれDNA解析などによって明快な結論が出るであろう、と予測されてはいたが、ついにこの日が来たか、との思いで記事を読んだ。

同じく絶滅した北海道のエゾオオカミについては、以前から、タイリクオオカミの亜種であろうとの分類がなされていた。エゾオオカミの方がやや大型なことから樺太経由など北方系の亜種との見方があるが、いずれにせよ、日本にいたオオカミは、どちらも現在世界に広く分布するハイイロオオカミと同種だったことが、ほぼ明らかになった。(北米のハイイロオオカミは、Timber Wolf(シンリンオオカミ)などと呼ばれ、ユーラシアのハイイロオオカミは、タイリクオオカミなどと呼ばれるが同種)

さて、最近は、増えすぎたイノシシやシカを駆除する等のために、環境省では「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」と称して、狩猟の担い手づくりのための講演会を、地方中心に年数回開催している。狩猟を経済活動として支えるための「ジビエ」利用についての取り組みも各地で行なわれている。

アメリカのイエローストーン国立公園ではオオカミの絶滅によって崩れた生態系のバランスを回復するため、カナダからハイイロオオカミを移入して定着させた。いずれ日本でも大陸のハイイロオオカミの移入が「議論」されるかもしれない。大型肉食獣でもあり、日本の山野への放獣が実現する可能性はほとんどないだろうと承知しつつ、日本の山でオオカミの遠吠えを聞きたい気持ちも、私のなかにはある。

もとより、絶滅(生存の物証がある最後の年代は明治期)したとされるニホンオオカミが、どこかで生き延びていた、というニュースが飛込んでくれば何よりなのだが。

カルピス㈱人事・総務部 坂本 優
バルディーズ研究会通信 166号から抜粋加筆

坂本 優
アサヒプロマネジメント株式会社 資料室&法務部
1953年生。東京大学卒業後1979年、味の素㈱入社。本社にて法務・総務業務、工場・支社にて総務業務を担当。2011年カルピス㈱(現アサヒ飲料)出向(‘12年転籍)。 同社及びアサヒグループ食品で法務・コンプライアンス業務を担当。’17年12月より現職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(趣味ラグビー 関東ラグビー協会理事)

2014年12月16日(火)15:30

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