発表会では、自然エネルギー事業の参入をめざす市民が、今後予想される制度変更への対応を迫られる様子も伺えた。「町田電力」は、東京・町田で太陽光や風力を利用した市民電力事業案を発表。出力約65キロワットの設備に要する4千万円の費用は、売電収入で20年かけて回収するとした。
しかし買取価格は今後、下落が予想される。事業案では太陽光でキロワット当り28円を下回ると、回収期間が延びると予測。見直しが当初案で実施されれば、出力抑制の対象にもなる。広報担当の入澤滋さんは「FITに頼らず、他の方法で制度に適応していくことも考えたい」と話した。
案の審査員の一人で、資源エネ庁の渡部信仁・再生可能エネルギー推進室長はFITの見直しについて「接続可能量を増やすためのもの。多くの事業者が接続を待っているのが現状だ。過去に出力抑制は行われていない」と説明する。
しかし接続可能量の算定では、原発を突出して優遇。電力会社は算定にあたり、廃炉が見込まれる老朽原発や建設中のものも発電分に盛り込んでいる。
今回の見直しで、原発の優先が自然エネルギーの普及を抑制することにはならないか。渡部氏は「FITは20年の長いスパンで実施されるもの。原子力については何も言えない」と述べた。
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