■国連防災会議におけるスピーチ(邦訳骨子)
核テロの脅威の増大により世界は原発全廃が緊急の課題となりました。今日、寛容と連帯に立脚する和の「母性文明」が、技術のみに依存してリスクを犯す「父性文明」にとって代わることが求められます。
世界が直面する危機の真因は倫理の欠如であるとの信念から、近年倫理問題に関するハイレヴェルの対話フォーラムとして「国連倫理サミット」の開催につき議論を重ねて参りました。未来の世代は放射能汚染の無実な犠牲者になると思われます。潜在的なものも含め将来現出する放射能汚染の犠牲者が国際組織に提訴する道を開くための措置を講ずることが是非とも必要とされまあす。これは深刻な人権問題です。
福島第一の1号機、2号機および3号機は建屋内の致死量レヴェルの放射線量のため接近できません。各格納容器は水素爆発を防ぐために必要な酸欠状態を保つために絶えず窒素を注入し続ける必要があります。
原子力規制委員会は処理済み汚染水(59万トンのうち24.1万トン)を猛毒のトリチウムを残したまま海洋に放出することを考えていると伝えられます。福島第一原発が「under control」ではないことは、誰が見ても明らかな事実です。
福島事故により原発の存在そのものが安全保障問題であることが示されました。原発は核兵器に劣らず危険です。従って、世界の430以上の原発の安全に対する国際的管理の強化が求められます。
福島の教訓を学び抜本的な変革を実現しない限り、世界の命運は電力会社により左右されることとなりましょう。既に福島は忘れられつつあると指摘されております。
IAEA(国際原子力機関)は電力会社の利益を代表するものであり、放射能汚染の危険性と原発事故の結果を矮小化します。今や、日本の元総理およびスイスの元大統領がIAEAの改革を求め、現存する原発の安全に対する国際的管理の強化を主張しております。
国際オリンピック委員会により派遣される中立委員会により東京の安全性が事前に再確認されることなく、東京オリンピックを開催するなどという無責任を日本の市民社会は許さないと思われます。
適切に改革されたIAEAが日本の諸組織と連携して、福島事故への対応に、これまで以上の役割を担うことは可能であり、そうすべきであると確信します。
多くの人々とともに、地球倫理、母性文明、そして新の核廃絶への道を開く国連倫理サミットの開催を呼びかけて行く所存です。
潘基文国連事務総長からは加盟国が国連総会に提起すれば、同サミットを喜んで支持する旨の2013年3月2日付私宛書簡を受領しております。
■東京五輪と福島事故