水上 武彦(株式会社クレアン)
「教育」は、CSVの取り組みにおいて、ホットな社会的課題の一つです。現在の「教育CSV」においては、「ICT」と「途上国」が重要キーワードで、「ICT」関連では、製品・サービスのCSVがホットです。
製品・サービスのCSVとして、ICTを活用した教育サービスが進化しています。教育× ICTのサービスは、エデュケーションとテクノロジーの頭文字を取ってEdTech(エドテック)とも呼ばれており、米国ではハーバード、スタンフォードなどの有名大学の講義が無償で受けられる「MOOC(ムーク)」と呼ばれるオンライン講座などが広がっています。エドテック市場は大きな成長が見込まれており、グーグルやアマゾンも参入しようとしています。
日本でも2012年頃からこうしたサービスが増え、例えばDeNAは、スマートフォンやタブレット向けの「アプリゼミ」により、通信教育サービスを展開。ソーシャルゲーム会社は、単に学習をウェブ化するだけでなく、ゲームで培ったノウハウを生かして、ユーザーに継続して学んでもらえるように、データにもとづき常に進化させようとしています。
日本政府は、「2020年までに全国の小中学校で1人1台のタブレット端末の整備」を目標に掲げており、電子黒板やタブレット端末などの教育用ICT機器、デジタル教科書が国内で急速に拡大すると見込まれています。
こうした動きを受けて、楽天は、電子書籍端末コボタッチを国内の学校に無償供与しています。電子書籍を使った効果的な教育のやり方が広がれば、楽天の電子書籍ビジネスも発展します。また、電子書籍で教育コンテンツを購入することは、若年層が楽天の会員になることを意味します。これは、教育ICT市場獲得に向けて、学校や生徒との関係を強化する競争基盤のCSVです。