中でも、インターネットを活用した寄付の機会が拡大していることが大きな影響を及ぼしているようです。昨年、世間を賑わした「Ice Bucket Challenge(アイスバケツチャレンジ)」は、記憶に新しい事例といえるでしょう。
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の研究を支援するため、バケツに入った氷水を頭からかぶるか、米国ALS協会(ALS Association)に寄付をするという運動ですが、インターネットを通じて、米国発で全世界に情報が拡散されたことにより、短期間で多額の寄付が集まりました。この他にも、子どものがんに対する研究を支援するために頭を剃ったり、男性特有の病気の認知度や健康意識を高めるためにヒゲを生やすといったイベントも急速に世間の支持を得るようになってきました。
こうした新しいタイプのチャリティ・イベントの登場に対して、従来型のイベントへの梃入れも行われています。例えば、 若年性糖尿病の撲滅に取り組む、若年性糖尿病研究財団(Juvenile Diabetes Research Foundation)では、以前から実施している、複数の「歩く」チャリティ・イベントを統合し、「One Walk」というブランド名称に統一しました。これにより、人々が同財団の活動内容やその重要性について理解しやすくなり、「1型糖尿病」(type 1 diabetes)のための資金調達をしていることがすぐに分かるようにしています。
同様に、3歳以上18歳未満の難病と闘う子どもたちの夢をかなえるという支援を行うメイク・ア・ウィッシュ財団(Make A Wish Foundation)では、各地域の支部に対するサポートを強化するため、チャリティ・イベントの参加者が更にファンドレイザーとして活躍してもらえるように、家族や友人に対する寄付依頼方法を共有するなどの支援を行っています。
日本では、チャリティ・イベント自体がようやく社会に浸透し始めたように思います。東京マラソンに見るように、寄付金額10万円以上を払って「チャリティ・ランナー」として参加する人もいます。その一方で、Japan Givingなどのように、個人単位の小さなチャリティ・イベントが簡単に始められるようになりました。ファンドレイジングを行うNPOとしては、ターゲットの特性やトレンドの変化を見極めながら、潜在的な寄付者との接点を拡大し、調達する寄付金額を最大化していかなければなりません。