[映画評:ア・フィルム・アバウト・コーヒー]便利さの先に広がるコーヒーの世界とは

このエントリーをはてなブックマークに追加

コーヒーの新しいブーム「サードウェーブ(第3の波)」の現場に迫るドキュメンタリー映画「ア・フィルム・アバウト・コーヒー」(2014年米国作品、ブランドン・ローパー監督、66分)が12日から東京・新宿シネマカリテで上映中だ。生産地から淹れ方まで徹底的にこだわるサードウェーブがめざす世界とは。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■大量消費へのカウンター

コーヒーの「第1の波は」、インスタントコーヒーの登場などを通じた20世紀前半の「大衆化」。膨大な需要を満たすために大量生産のしくみが整えられたが、コーヒー豆は均質化し、生産者を搾取する温床にもなった。

スターバックスをはじめとする「シアトル系」が起こした「第2の波」では、洒落た店舗や多彩なメニューが人気に。一部では豆のフェアトレードも導入された。

映画「ア・フィルム・アバウト・コーヒー」より (C)Avocados and Coconuts.

映画「ア・フィルム・アバウト・コーヒー」より (C)Avocados and Coconuts.

そしてサードウェーブは「質」への徹底的なこだわりにおいて、従来とは一線を画する。味や香りを極めるために淹れ方を磨くのは当たり前。さらに店主みずから生産地に赴き、豆を吟味し買い付けることもある。

こうしたダイレクトトレード(直接取引)では、生産技術の指導を通じた豆の品質向上と、生産者の収入増が期待できる。バリスタ(コーヒーを淹れる人)の技能を競う世界選手権もある。

このようにして淹れられたスペシャルティーコーヒー。客は1杯の向こうに、店主やバリスタ、焙煎業者、生産者らのこだわりや思いを感じることとなる。

高性能なコーヒーマシンが普及して、消費者はコンビニエンスストアでも安価で、かなりおいしい1杯を味わえるようになった。他方、1杯のコーヒーを通じて、便利さの先にあるものに価値を見出す人も確実に存在する。

その価値とは、公平さや持続可能性、高められた技術や洗練された作法などだ。サードウェーブが示しているのは、そういう世界である。作品は全国順次公開予定。

映画公式サイト

2015年12月18日(金)11:30

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑