豊島の産廃事件、住民の語りが本に

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山下ナミさんの個人サイト「73edit」で、1冊1000円で販売中。売上は2冊目の砂川さんの本、または豊島の産廃に関する活動に生かされる。表紙の顔写真は砂川三男さん

瀬戸内海に浮かぶ香川県・豊島(てしま)の有害産業廃棄物不法投棄事件。発覚から約30年が経った今年3月、撤去作業が完了した。住民運動を続けてきた砂川三男さん(89)の語りをまとめた書籍『よっしゃ、やらんかい』は、いち事業者の違法ビジネスと、それを黙認する行政が招いた公害の重大さを浮き彫りにしている。7月28日まで高松市で展示会も開かれている。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

事業者は、1991年に逮捕されるまでの約10年、自動車の破砕くずなど都市や工業地帯のゴミを運び込み、野焼きして埋め立てた。大量消費社会と、排出企業や監督行政の無責任を背景に、豊島の海辺には90万トン超の有害廃棄物が残された。

息の長い住民運動の結果、香川県は2000年に公害調停に合意。謝罪して原状回復を約束した。2017年3月に島外搬出を、6月に隣の直島での処理を終えたが、地下水浄化は2022年まで続く。国税を含む700億円以上が費やされてなお、事件は完結していない。

砂川さんは、廃棄物対策豊島住民会議の元議長。2007年にNPO法人シブヤ大学(東京・渋谷)とNPO法人アーキペラゴ(香川県高松市)の共催イベントで講師をした縁から、アーキペラゴの「豊島ゼミ」の語り部を2015年まで務めた。

砂川さんの言葉を106ページにまとめた本は、アーキペラゴ理事の山下ナミさんが個人プロジェクトとして自費出版した。タイトルの『よっしゃ、やらんかい』は、砂川さんを支えた今は亡き仲間の言葉だという。

県も警察もまともに取り合わなかった豊島の住民運動は、奇異の目で見られたり、心無い言葉を掛けられたりする一方で、全国からの寄付や署名に助けられた。砂川さんは、「日本中の人に世話になった。豊島はそれを忘れたらいかん」と話し、住民が培った自治の精神を、未来に残そうとしている。

支援者だった弁護士の故・中坊公平氏らが設立したNPO法人瀬戸内オリーブ基金も、ウェブサイト「豊島・島の学校 豊かな島と海を次の世代へ」で情報発信を続けている。同基金は、「豊かな島 よみがえれ 産業廃棄物不法投棄と闘った豊島の42年展」を7月28日までサンポートホール高松(高松市)で開催している。住民運動の経過や島の自然など写真パネル約50点が展示されている。

2017年7月23日(日)16:52

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