欧州化学物質庁、樹脂原料BPAの発がん性など懸念

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欧州化学物質庁(ECHA)は6月、プラスチックの食品包材、缶詰や缶飲料のコーティングに使われる樹脂原料「ビスフェノールA(BPA)」を「人体への影響が極めて懸念される物質」と認定した。内分泌かく乱作用により、生殖機能低下や発がん性の懸念が非常に高いという。BPAを含む包材や缶詰を欧州に輸出する日本企業も対象となる。日本の環境省もBPA規制を検討しており、今回の欧州の判断も影響しそうだ。(羽生のり子)

BPAはペットボトル、プラスチックの密閉容器や食器、哺乳ビン、CD、レジのレシート、のほか、中身を長期保存するため、缶詰と缶飲料の内側のコーティングに使われる樹脂にも含まれている。

ECHAと同じく欧州連合(EU)の機関である欧州食品安全機関(EFSA)は、2015年1月にBPAを再評価し、「体重1キログラムあたり4マイクログラム以下という現状の暴露なら、胎児、幼児、思春期の子どもを含む全年齢層にとってリスクはない」と結論し、環境保護団体から「産業界よりの論文を基にしている」と批判された。ECHAの認定は、EFSAの評価とはまったく異なる。

EU内でBPA使用を厳しく制限しているのはフランスだ。食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が2011年9月の報告書で「食品に触れるものには使うべきでない」とし、2013年4月に発表した評価で妊婦、乳幼児、授乳中の母親へのリスクを指摘していた。フランスはANSESの報告書にもとづき、2015年1月1日から食品に接触する製品への使用を禁止している。フランス以外のEU諸国で規制をしているのはベルギー、デンマーク、スウェーデンで、0歳~3歳児用の食品の包材と食器への使用を禁止している。

今回のECHAの認定は、「極めて懸念されるBPAの内分泌かく乱物質作用を認める」というフランスの提案を、加盟国委員会が満場一致で可決したものだ。

ECHAは2017年1月にBPAの「生殖への毒性」を認定し、EUの化学物質規制である「REACH」の中でも、使用に特別な許可が必要で、人体への影響が極めて懸念される「認可対象候補物質リスト」にBPAを入れた。今回、同リストのBPAの項目に「人の健康を大きく害する内分泌かく乱作用」という一文を追加した。REACHはEU加盟国全体に適用される法律で、EU市場に流通する全ての製品に関わる。

EUの製造業者と輸入業者は、認可対象候補物質リストにある物質が製品重量の0.1パーセント以上含まれており、1事業者あたりの年間の物質総重量が1トン以上なら、リストに入った日から6か月以内にECHAに届け出なければならない。

「製造業者と輸入業者は、EU市場に出す製品にこの物質が含まれていたら、届け出義務の内容と製品の安全な取り扱いについての情報をサプライチェーンと消費者に通知しなければなりません。少なくとも該当する物質名を知らせる義務があります。安全な取り扱いについての判断ができるよう、重量も知らせたほうがいいでしょう。消費者から問い合わせが来たら、45日以内に情報を提供しなければなりません」と、ECHAのプレス担当官であるポール・トゥルース氏は説明した。

日本からEUに輸出する製造者は、BPAの含有量に注意する必要がある。

実際に、EUは2011年からBPAを含む哺乳ビンの製造販売を禁止している。また2016年12月には、REACHの「使用制限物質」リストにBPAを加え、2020年1月3日以降、BPAを重量の0.02%以上含むレジのレシートなどの感熱紙をEU市場で使用・製造・輸入することを禁止した。EUに輸出する製造者は、これらの製品についても注意が必要となる。

2017年8月22日(火)16:25

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