木を伐る会社が、地域の子どもたちと木を植える活動!

岩崎 唱
NPO法人 森のライフスタイル研究所 遊撃隊員
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有限会社 丸大県北農林

岩手県九戸郡洋野町にある丸大県北農林は、素材生産を行う林業事業体だ。素材生産とは、森林の木を伐採し、枝払い、玉切りなどをして建築用材やパルプ原料となる丸太を生産することをいう。ちなみに植林や植栽地の下草刈りをしたり、枝打ち・除間伐を行ったりすることを造林・育林という。木を伐るのが本業の会社が、数年前から地域の子どもたちと木を植える活動を行っている。

子どもたちと仲良くカラマツ苗を植林。(岩手県洋野町)

日本では珍しい欧米型の機械化林業を実践

青森県と境を接する岩手県北部の沿岸部は、なだらかな地形に自生したアカマツが豊かな森林を形作っている。日本の森林のほとんどは急峻な地形であることが多く、洋野町のように平坦地に森林が形成されていることは珍しい。日本では「森」=「山」であることが多い。平坦な地形を生かして洋野町ではハーベスタ、プロセッサなどの重機を使った欧米のような林業が展開されている。丸大県北農林の社員は18名。うち3名は伐採した木材を運搬するトラックのドライバーで3名が事務員。伐採現場で働く社員は12名だ。丸大県北農林では27台もの高性能林業機械を保有している。伐採作業は、これらの高性能林業機械を使用し生産効率が高い。社員の平均年齢も30代と林業界では異例といっていいほど若い。

高性能林業機械によるアカマツ伐採作業。(岩手県洋野町)

将来、必要になる造林・育林の技術を身に付けるために

岩手県は素材生産量が152万4000立方メートル(27年次 岩手県資料)と日本でもトップクラス。しかし再造林率は30%程度とかなり低い。このまま伐採を進めていけば、いくら豊かな森林があるとはいえ、やがて資源が枯渇してしまうのは素人の目にも明らかだ。丸大県北農林は「素材生産だけに頼っていては未来が見えない。今のうちから経験のない育林や造林の仕事にも目を向けよう」と地域の育林造林業者と手を組んで造林・育林との作業を学ぶ準備を始めている。その一環として実施したのが地域の子供たちと一緒に森をつくる活動だ。ふるさとの森を守っていこうと5年前に地元の小学2・3年生を招待して植林活動を開催した。活動日には、丸大県北農林の社員全員がボランティアになり、子供たちに手とり足とり木の植え方を教え、森の大切さを実感してもらい、自分たちも造林の知識を身に着けていこうという取り組みだった。会社ではあえて謳っていないが、これも立派な企業の社会的責任=CSRを果たす活動だろう。

参加した子どもたちが定年を迎える頃、植えたカラマツを伐採します。(岩手県洋野町)

現在は洋野町教育委員会の主催となって実施

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岩崎 唱
NPO法人 森のライフスタイル研究所 遊撃隊員
平凡なコピーライター。緑の雇用担い手対策事業の広告制作に携わり、広報誌Midori Pressを編集。全国の林業地を巡り、森で働く人を取材するうちに森林や林業に関心を抱き、2009年の森と洋服のプロジェクトよりNPO法人 森のライフスタイル研究所の活動に参加。以来、森づくりツアーやツリークライミング体験会等の企画運営を代表の竹垣英信と共に担当。森林、林業と都会に住む若者の窓口づくりを行っています。TCJベーシッククライマー。

2018年1月9日(火)17:16

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