H&Mなど世界アパレル大手、モヘア使用中止

H&M、GAP、ZARAなど国際的なアパレル大手が、モヘアの使用を中止すると相次いで発表した。南アフリカ共和国の12の飼育場が、モヘアの原料となるアンゴラヤギを非倫理的に扱った事例を国際NGO「PETA」がウェブで告発したのがきっかけだ。光沢のある毛が特徴のモヘアはヤギ毛では最高級で、南アは世界のモヘアの半分以上を生産している。H&Mは2020年までにモヘアを代替な原料に替えるという。(パリ=羽生のり子)

アンゴラヤギ(C)PETA Asia

PETA(動物の倫理的扱いを求める人々:People for the Ethical Treatment of Animals)は米国に本拠地を置く、動物の権利と倫理的な扱いを求める国際NGOだ。

同NGOは、アンゴラヤギ飼育場で隠しカメラを使い、ヤギの悲鳴が聞こえる中で従業員が足を地面に押さえつけて毛を刈る、子ヤギの足をつかんで運ぶ、意識のあるヤギの首を切って殺す――などの風景を撮影した。

毛を刈られたヤギは食肉処理場か飼育場に運搬されるが、体を保護する毛がないために、弱って途中で死んだり病気になったりするヤギが多い。

モヘア使用中止を発表したのは、上記の国際的なアパレル企業のほか、8ブランドを持つ英アルカディアグループと、GAPが属するGAP Inc.系列のバナナ・リパブリックなどだ。

PETAは2013年にアンゴラ毛糸の原料となるアンゴラウサギで同様のキャンペーンを行ったことがある。このときは中国の飼育場で隠し撮りし、それを見たカルバン・クライン、H&Mなど12以上のメーカーが使用中止を発表した。

モヘア製品を買うことは、ヤギの苦難の増大につながるとして、PETAは代替え物を買うよう消費者に訴えている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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