サステナビリティ経営の質を見極める 2

・第三者意見と保証
現状、日本におけるサステナビリティ報告は任意報告であり、法廷開示書類のように監査報告は必要ありません。しかし、信頼性の高い報告を担保するには、やはり第三者の検証が重要です。日本では、特にCSRレポートでは第三者意見、統合報告やアニュアルレポートでは社外取締役の意見などが掲載されることが多いです。

しかし、中にはPDCAのC(チェック)の役割を果たしていない、実質的な課題の指摘が少ないものも見受けられます。今後は統合報告全体を統合思考で検証するものや、ステークホルダーとの実質的な対話を代表するようなものも、期待されます。

第三者保証として、監査法人などの保証を受けている報告もあります。これは主には社会面や環境面における報告数値の正確性の第三者の検証であり、報告の信頼性を上げるためには非常に有効なものだと考えられます。

コストが高いこともありまだ少数派ですが、報告の重要性が高まるにつれて、増えていくことが期待されます。第三者保証報告がある報告は、その意味で報告に真摯に取り組む姿勢があると見ることはできるでしょう。

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中畑 陽一(オルタナ総研フェロー)

静岡県立大学国際関係学部在学時、イギリス留学で地域性・日常性の重要性に気づき、卒業後地元の飛騨高山でタウン誌編集や地域活性化活動等に従事。その後、デジタルハリウッド大学院に通う傍らNPO法人BeGood Cafeやgreenz.jpなどの活動に関わり、資本主義経済の課題を認識。上場企業向け情報開示支援専門の宝印刷株式会社でIR及びCSRディレクターを務め関東・東海地方中心に約70の企業の情報開示支援を行う。その後、中京地区での企業の価値創造の記録としての社史編集業務を経て、現在は太平洋工業株式会社経営企画部にてサステナビリティ経営を推進。中部SDGs推進センター・シニアプロデューサー。

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