変わる宅配、ネスレ日本とLIXILで新たな動き

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インターネット通販の拡大で、人手不足や値上げなど「宅配問題」が新たな社会的課題になるなか、メーカーからも新たな動きが出始めた。リクシルは10月1日、再配達の削減に向け戸建て住宅用宅配ポストを発売。ネスレ日本は同日、消費者を巻き込んだ新たな宅配サービス「MACHI ECO便」を始める。(堀 理雄)

リクシルは10月1日、業界初となるIoTを活用した戸建て住宅用「スマート宅配ポスト」を発売(左)。ネスレ日本は同日、新たな宅配サービス「MACHI ECO便」を開始する

IoT活用した宅配ボックスで再配達防止へ

国土交通省によると、2017年度の宅配便の取扱個数は約42.5億個。08年の32.1億個から約10億個増えており、約3割の急激な伸びを示した。荷物の再配達は15%に上り、ドライバーの負担軽減やCO2の排出削減に向けた対応が求められる。

国土交通省「平成29年 宅配便取扱実績について」より

リクシルは10月1日、業界初となるIoTを利用した戸建て住宅向けの「スマート宅配ポスト」を発売した。スマートフォンとつなげることで、不在時でもカメラを通じて宅配業者との会話や解錠ができ、複数個の荷物の受け取りが可能だ。事前に宅配業者に登録することで発送もできる。

同社によると、戸建て住宅用の宅配ボックスの普及は1%未満にとどまる。普及を進めることで再配達による労働生産性の低下を防ぎ、CO2の排出削減にも寄与することを目指す。

消費者参加型の宅配サービス、地域活性化にも

ネスレ日本は同じく10月1日から、佐川急便と共同で新たな宅配サービス「MACHI ECO便」を開始する。コーヒーなど同社商品の定期購入者を対象に、複数人分の商品をまとめて拠点に配送するサービスだ。

拠点は「エコハブ」と称し、個人宅や店舗などで配送の中継点となってくれる協力者を募る。個々のユーザーは近くのエコハブまで荷物を取りに行くか配送してもらうかを選べる。取りに行く場合には5%の割引がある。エコハブとなったユーザーは、対面で商品を手渡すか宅配ロッカーを設置し、ネスレから謝礼金を得る仕組みだ。

エコハブまでの配送は佐川急便が担い、その先を消費者が担うことで、流通の省力化やCO2排出量を削減し、同時に商品の受け渡しを通じた会話や交流など、地域コミュニティの活性化を目指す。中継点となるエコハブは、現在東京都内で100カ所(うち14カ所が宅配ロッカー)、大阪府内で30カ所。来年末までに全国へ広げていくという。

ネスレ日本で提供するコーヒー飲料や健康食品を、EC(通販)サイトを通じオフィスや自宅などで定期的に購入・利用しているユーザーは約90万人。その定期購入を支えるのは、宅配サービスだ。

近年成長を続けるネスレのEC事業の配送を委託してきたのはヤマト運輸だったが、アマゾンなど通販サイトの荷物量が増加したことに伴い、ネスレ日本との契約は打ち切ることになったという。

9月26日に取り組みを発表したネスレ日本の高岡浩三社長によると、近年40~50%の成長を続けてきたEC事業の今年の売上高は、配送コストの増大によって25%増に鈍化する見込みだ。その上で、「商品や売り方ではなく、配送・サプライチェーンが一番の問題。それは同時に社会的な問題でもあり、我々の戦略として課題に取り組みたい」と述べた。

事業戦略発表会で「MACHI ECO便」の開始を発表するネスレ日本の高岡社長(9月26日、都内で)

新サービスを始めるにあたり、「株式会社MACHI ECO」を設立。今後ネスレの商品だけでなく、理念に共感する他企業の商品も扱うことを想定しており、2025年末までにサービス利用者100万人を目指すとしている。

2018年9月28日(金)21:53

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