ロンドンが世界初「ペットボトルフリー都市」へ

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プラスチック問題を語るとき、先進的な例としてイギリスがよく取り上げられます。昨年イギリスでは、「ブループラネットII」という海洋ドキュメンタリー番組が放映され、プラスチック問題への関心が一気に広まりました。それ以降、多くの企業や団体がプラスチックフリーの取り組みを始めています。

イギリスでは来年からプラスチック製のストローや綿棒が禁止になり、2042年までに使い捨てプラスチックを全廃する方針を出しています。さらに欧州議会でも、今年10月に使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する法案が可決されました。先日イギリスを訪問する機会があり、現地が実際にどうなっているのか、視察してきました。(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン プラスチック担当=石原謙治)

ロンドン市内の公園 © Greenpeace

■無料給水器、市内に20機設置目指す

イギリスに滞在してまず驚いたことは、1カ月間ペットボトルを一本も買わなくても不自由しなかったことです。日本では出先でのどが渇くと、自動販売機やコンビニなどで飲み物を買う以外に選択肢のないことが多い一方、ロンドンにはさまざまな場所に無料で使える給水器があります。学生、主婦、会社員など、あらゆる人々が給水器を利用している姿が印象的でした。

ロンドンでは公共の場で、誰もが無料で使える給水器を増やそうとしています。この取り組みの中心となっているのは、ロンドン動物学会(ZSL)のメンバーらで構成される「#OneLessキャンペーン」。「ロンドンを、世界初のペットボトルフリー都市にする」というビジョンを掲げ、ロンドン市長と共同で活動しています。今回、ロンドン動物園のスタッフもしている担当者のフィオナ・シェウリン氏に話を聞きました。

#OneLessが進めるペットボトルフリーキャンペーンと給水器の様子© Greenpeace

#OneLessキャンペーンは、プラスチック問題に関心が高いロンドン市長と共同で、ペットボトルを削減するため、公共の場に給水器を広げる取り組みを始めています。駅など多くの人が集まる場所を中心に、まず20機の設置を目指しています。ここで注目すべきは、そのデザイン。給水器といっても、日本の公園にあるような蛇口式ではなく、マイボトルに給水できるスタイリッシュなデザインに進化しているのです。

ロンドンの水道水は衛生基準が厳しく飲料可能ですが、多くの人はそれを知らず、ペットボトルの水を買っています。平均なロンドンに住んでいる成人は、毎週3.37本のプラスチック製の水ボトルを購入していますが、これは毎年175人、都市レベルで年間10億本以上となります。ZSLによると、これらの多くはテムズ川に流れ、海にも流出しています。

ロンドン市内にある、#Onelessキャンペーンにより設置された給水器(写真提供: 一般社団法人JEAN)

給水器を設置することで、市民はペットボトルの水を買う必要がなくなり、ペットボトルごみを大幅に減らすことができます。さらに、マイボトルを持ち歩く習慣も定着します。実際に、図書館などへ行ったときに周りを見渡すと、ペットボトルを持ち歩いている人はほとんど見かけませんでした。

■リサイクルや代替品よりも大事なこととは

今年は世界的な脱プラスチックストローのブームでしたが、その先駆者はイギリスです。イギリスのスターバックスやマクドナルドは、同国の店舗から試験的に紙ストローに切り替えています。

ロンドン市内の道ばたに捨てられたプラスチックカップとストロー© Greenpeace

しかし、道ばたに落ちているごみを見ると、ストローだけが生分解性になってもプラスチックごみによる汚染や動物への被害は変わらないのではと思わざるを得ません。

ロンドン市と#Onelessが進める給水器の取り組みを見て実感したことは、リサイクルや代替品の開発の前に、まずごみが出ない仕組みを整えることこそが大事だということです。

■プラスチック問題を自分ごとに

北海を漂うペットボトル © Will Rose / Greenpeace

日本でもプラスチックフリーの動きが勢いを増してきています。すかいらーくなど大手外食チェーン店、そして政界からもプラスチックストローを廃止する動きが広まっています。自治体レベルでもさまざまな動きが見られ、神奈川県が「かながわプラごみゼロ宣言」をするなど、プラスチック問題に積極的に取り組む姿勢が見受けられます。

環境問題と向き合う時、「問題が大きすぎて自分には何もできない」と思うのではなく、こうしたら楽しいのでは、あんなふうだったらいいなと思いを巡らすと、いろいろなアイデアが生まれてきます。ロンドンの給水器の例はまさに、市とそこで生活する市民の協力によって実現したプロジェクトだといえます。ぜひ、家族、友人など自分の周りの人にプラスチック問題や自分なりのアイデアを共有して、プラスチックフリーに向け、社会に働きかけてみませんか。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、世界規模の環境問題に取り組む国際環境NGOです。問題意識を共有し、社会を共に変えるため、政府や企業から資金援助を受けずに独立したキャンペーン活動を展開しています。本部はオランダにあり、世界55カ以上の国と地域で活動し、国内だけでは解決が難しい地球規模で起こる環境問題に、グローバルで連携して解決に挑戦しています。

2018年11月8日(木)10:34

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