「給水スポットをもっと日本に」NGOの活動広がる

水Do!ネットワーク瀬口代表インタビュー

水道水の活用を推進するNGO「水Do!ネットワーク」が、新たなキャンペーン「リフィル・ジャパン(Refill Japan)」を立ち上げ、水道水の給水スポットの拡大を目指す。公共の水飲み場や協力店舗など、冷水や温水を無料でくめるスポットをウェブで紹介し、「マイボトル」給水できる機会を増やして環境負荷を軽減する狙いだ。(海洋ジャーナリスト/オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

冷たい水が飲める水道直結式仮設給水機

――「リフィル・ジャパン」はどんな活動をしていますか。

マイボトルに水道水を詰めることを推奨するだけでなく、街に給水スポットを増やして使い捨て容器入り飲料の消費を抑え、環境負荷を低減することを目指しています。マイボトルを持っていない人が水分補給できる直飲みタイプの整備も必要でしょう。

私たちが問題視しているのは、使い捨て容器入り飲料がライフサイクルを通して排出する二酸化炭素です。容器包装リサイクル法が施工された1997年以降、メーカーが500mlペットボトルの製造自粛を解禁し、この20年でペットボトル生産量は重量ベースで約5倍に伸びています。

しかしペットボトルのリサイクルの効果は限定的です。特にペットボトル入りの水とお茶が増えています。いくら容器を薄く軽くしても、500mlの水は500g分の輸送エネルギーを要します。ペットボトル入りの水を飲む行為は、自然の勾配を利用して配水している水道水を飲むよりも、格段に環境負荷が大きいのです。だから、私たちは給水スポットの増加と普及に取り組んでいます。

外出時に500mlの水を飲む時、選ぶ水によって二酸化炭素の排出量は大きく異なる(FoE Japanが2010年に作成)

――瀬口さんは、どのような経緯でこの活動を始めたのですか。

国際環境NGO FoE Japan(フレンド・オブ・ジ・アース・ジャパン)の職員として温暖化防止と廃棄物発生抑制に取り組む中で、2009年から米国や欧州、豪州を訪れ、ペットボトルや水道水の利用状況を取材しました。

そして2010年に使い捨て容器入り飲料の消費減を目指す「水Do!キャンペーン」をFoE内で立ち上げ、その5年後に、賛同団体とともに「水Do!ネットワーク」として独立したのです。

水Do!ネットワークの瀬口亮子代表

――給水スポットを増やす意義とは何でしょうか。

chiyosetouchi

瀬戸内 千代

オルタナ編集委員、海洋ジャーナリスト。雑誌オルタナ連載「漁業トピックス」を担当。学生時代に海洋動物生態学を専攻し、出版社勤務を経て2007年からフリーランスの編集ライターとして独立。編集協力に東京都市大学環境学部編『BLUE EARTH COLLEGE-ようこそ、地球経済大学へ。』、化学同人社『「森の演出家」がつなぐ森と人』など。

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