「教育現場から気候変動対策を」先生・学生らが訴え

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■環境活動で志願者数が8倍に

パネルディスカッションでは、SDGs目標7を達成するために何が必要か議論された

パネルディスカッション「SDGs目標7『エネルギーをみんなに そしてクリーンに』の実現に向けて」では、星槎の井上一氏、横浜YMCAの田口努総主事、自由学園の鈴木康平学園長補佐兼環境文化創造センター次長、自由の森学園の鬼沢真之理事長、千葉商科大学の橋本隆子副学長が登壇、日経エネルギーNextの山根小雪編集長がモデレーターを務めた。

自由の森学園の鬼沢理事長は、「グレタさんは、学校に行かず気候変動対策を訴えている。未来がないのに、なぜ学ぶ必要があるのかという深刻な問いを、教育者に突きつけた」と切り出す。

星槎の井上氏は「日本全体として、自分たちで社会を変えて行けるという実感がないのではないか」と話し、千葉商科大学の橋本副学長も「大人の姿勢がそのまま学生に反映されている」と同調した。

日本で初めて「再生可能エネルギー100%大学」を実現した千葉商科大学は、2013年に方針を定め、2014年度に「太陽光発電事業」を開始。2019年1月度までの1年間の再エネ率が101%に達した。

橋本副学長は「環境への取り組みは戦略でもあり、実際に志願者が8倍になった」と、その効果を語る。

横浜YMCAの田口総主事は、「福島第一原子力発電所事故が起きて、コンセントの先に福島が見えた」と話し、2019年9月に青森県「横浜」町の風力による電力の利用を開始し、「ヨコヨコプロジェクト」を立ち上げた。

自由学園の鈴木学園長補佐は「企業と消費者が同じ土俵に立ち、目標を共有し、話し合うことが大切だ。企業も消費者も価格だけではない、ものさしが必要ではないか」と投げかけた。

■「電力総選挙」で発電事業者を選定

自由学園の学生は「ネパールワークキャンプ」について発表した

シンポジウムの後半には、5校の学生がそれぞれの取り組みを発表した。

「環境学」を学ぶ自由の森学園の柏倉和奏さんは、営農型発電施設を見学するなど、環境や再生可能エネルギー、農業などについて広く学んでいる。「日本の電力を再エネにするには日本政府の力、日本全体で取り組むことが必要だ。だが、多くの人が知らない。手遅れになる前に行動しなければ」と訴えた。

同じく自由の森学園の浅見風さんは、2011年の原発事故をきっかけにエネルギーのあり方に疑問を持つようになったという。現在は「足元から地域を変えたい」との思いで、林業講座を受講している。同校の電力切り替えの際には、「電力総選挙」を実施し、どの発電事業者を応援したいか投票を行い、事業者と「顔の見える」関係を築いているという。

ベトナム出身の横浜YMCAのレザンリンさんは、「主に先進国が温室効果ガスを多量に排出したことが気候変動の原因の一つ。問題が起こる前に対処が必要だ。ベトナムでも再生可能エネルギーが広まれば」と意気込んだ。

同じく横浜YMCAで、アフリカ南東部沖の島国マダガスカル出身のラスアヌタヒナミラナジョシアさんは「日本が夜でも明るいことに驚いた」と話し、SDGsの重要性を訴えた。

星槎からは河野航大さんと石岡莉沙さんが登壇。同校では「自分たちの行動、選択が未来につながっている」という考え方をベースに、全国に30ある生徒会で、自分たちにできることは何かを常に考えているという。

同校は「星槎電力プロジェクト」を立ち上げ、みんなにエネルギーについて知ってもらうおうと、全国生徒会研修では自転車をこいだエネルギーで動くガチャガチャ(ガチャリンコ)を実施した。

自由学園からは黒沼佑哉さん、小林遼さん、石丸文香さんが登壇し、「ネパールワークキャンプ」について発表した。同校は30年来、ネパールの荒れた産地で苗木を植樹する活動などを続けている。成木を伐採するという話もあったが、話し合いをするなかで、現地住民自ら森を維持する決断をしたというエピソードを披露した。

千葉商科大学の保科友紀さんは、学生団体「SONE」で、学生に無理をさせない省エネ活動を提案する。その一つが「省エネパトロール」で、教室をまわり、無駄な電気が使われていないかをチェックしている。楽しく省エネを体験してもらうため、太陽光発電の電気を使用したイルミネーションも企画する。

こうした学生の取り組みに対し、江守副センター長は「自分が学生だったころを思い出した。素晴らしい行動力だが、実際の社会の変化は遅く感じるかもしれない。こうした若い人が常識を変えていくのを応援していきたい」と激励した。

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2019年12月2日(月)20:43

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