欧州繊維メーカー、使用済みの綿から繊維を再生

オーストリアの繊維メーカー「レンチング」(本社ウィーン)は12月3日、衣服など使用した後に廃棄される綿製品を原料に混ぜ、新たな再生繊維の量産化に成功したと発表した。現在リサイクル原料の混合率は最大30%で、使用後の綿はそのうちの10%だが、今後5年で使用後の綿の混合率を最大50%まで高める目標を設定。古紙の再生と同じように、繊維廃棄物のリサイクルを普及させることを目指している。(オルタナ編集部=堀理雄)

量産に成功したのは「テンセルリヨセル繊維」。木材パルプを主原料とした同社独自の再生繊維で、植物由来のため生分解性を持っており、衣類などにも幅広く使用されている。

繊維における循環経済の取り組みを進めている

同社ではこれまで、衣類の製造過程から出る布の切れ端など、使用せずに廃棄する綿布を原料に混ぜてこの繊維を生産していたが、今回リサイクル綿の混合率を最大30%まで高めるとともに、そのうち10%について消費者が使用した後の廃棄綿を混ぜて生産することに初めて成功した。

ファッション業界でもサーキュラーエコノミー(循環経済)への関心が高まるなか、使用後の廃棄綿を使用した持続可能な繊維の生産を、同社は重要なブランド戦略として位置付けている。取り組みを通じてSDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任つかう責任」に貢献していく考えだ。

レンチングのフロリアン・ハウブランドナー グローバル・ビジネス・マネジメント・テキスタイル担当バイスプレジデントは、「消費者はよりサステナブルな製品の購入を求めている。企業はビジネスモデルを再検討し、リサイクルとリユース(再使用)の双方を考慮した製品や技術の導入が必要だ」と述べている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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