ユニセフ(国連児童基金)は12月6日、世界的に深刻さを増す気候危機に関し、約5億人の子どもが洪水のリスクにさらされているなどとする報告書を発表した。12月2日からスペイン・マドリードで国連気候変動枠組条約締約国会議(COP25)が開かれるなか、災害リスクに特に弱い子どもを気候危機の影響から守るための緊急投資が十分でないことを指摘し、子どもの権利が後退する恐れがあることに警告を発した。(オルタナ編集部=堀理雄)
報告書は、約5億人の子どもが、サイクロンやハリケーン、暴風雨などの異常気象や海面上昇などにより、洪水の危険性が非常に高い地域で暮らしていると指摘。早期警報システムなどの災害リスク低減への投資が求められているとした。
約1億6000万人の子どもたちが深刻な干ばつの経験がある地域に住んでおり、2040年までに4人に1人が水を得るのが非常に困難な地域に住むことになると予測。水を効率的に管理する技術を普及するためのより大きな投資が必要だと提言した。
約3億人の子どもたちは、PM2.5(微小粒子状物質)レベルが基準値の6倍を超える汚染された空気を吸っており、そのうち1700万人が1歳未満の乳児だとした。健康、脳機能および発達に即時かつ長期的に悪影響を及ぼすことが懸念されている。
報告書は、炭素排出やその他の温室効果ガスが主な原因である大気汚染は、肺炎など呼吸器系の問題による毎年約60万人の5歳未満児の死亡に関係していると指摘。しかし汚染レベルが高い場所の多くには、定期的に汚染を測定するための監視システムがないことを問題視している。