インドネシア森林火災の関与企業へ邦銀10億ドル融資

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環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国、日本代表部:東京・渋谷、以下RAN)は29日、報告書「森林火災・違法行為とメガバンク」を発表した。2019年にインドネシアで発生した森林火災は、85万ヘクタール以上の土地や森林を破壊した。報告書はその森林火災に関与したとされる農園開発企業に、三菱UFJ、みずほ、三井住友の日本の3大メガバンクが計10億米ドル超の融資・引受を行っていたと指摘する内容だ。(オルタナ編集部=堀理雄)

火災が起きている泥炭地に放水するヘリコプター、インドネシア・南スマトラ ©Nopri Ismi / Mongabay Indonesia

報告書によれば、インドネシアの大規模火災で破壊された土地と森林はシンガポールの10倍の面積にあたる。二酸化炭素の重要な吸収源である熱帯林や泥炭地が破壊されたことで、2019年1月~11月までに7億900万トンの温室効果ガスが排出されたと推計されており、これは同年のアマゾン熱帯林火災によるCO2排出量を大きく上回る量だ。

火災の原因についてインドネシアの国家防災庁は、その8割がアブラヤシ農園の整地・開発を目的とした火入れ、つまり人為的な放火で起こされたものだと指摘。同国政府は2019年11月時点で、被害を緩和するため、火災に関与したとされるパーム油や紙パルプ、天然ゴムに関する企業83社の農園事業を凍結した。

報告書は、この83社に含まれている企業に対して、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)から10億米ドル超の融資・引受が行われてきたことを指摘している。

具体的には2017年から2019年8月までに、紙パルプ大手APP社の親会社である「シナルマス・グループ」へ3行合計で3億6500万米ドル、パーム油・食品会社の「サリム・グループ」に同じく6億400万米ドル、などの融資・引受が行われたという。

2019年のインドネシア森林火災に関与した企業グループへのメガバンクからの資金の流れ(2017年~2019年8月の融資・引受額、単位:百万米ドル)  出典:「森林と金融データベース」

報告書では、これらの企業が泥炭地破壊などの違法行為や汚職、労働権侵害などを行っている事例を紹介。それを踏まえRANのハナ・ハイネケン「責任ある金融」シニアキャンペーナーは、「3メガバンクの現行の銀行業務は内部コンプライアンスが機能していないことを表し、このようなリスクは投資家にほとんど開示されていない」と指摘する。

3メガバンクは国連の「責任銀行原則」に署名し、SDGs(持続可能な開発目標)やパリ協定に沿った事業戦略を約束しており、違法活動への資金提供の禁止や社会・環境保護を規定した方針を定めている。

しかし方針をどのように遵守するかという点に関しては、脆弱な認証制度に依存していたり、泥炭地の保護に関する明確な約束をしていない、方針を遵守させる方法を顧客に説明していないなどの不備があると報告書は指摘する。

その上でメガバンクへの提言として①ESG(環境・社会・ガバナンス)与信方針の強化 ②顧客に対するデューデリジェンス(リスクの認識・防止・対処プロセス)の改善 ③開示・苦情処理手続きの強化――の3点を挙げた。

■泥炭地破壊など深刻なESGリスク

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2020年1月30日(木)22:45

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