水道水を飲もう――水道水が見直される裏事情とは?

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■水は公共物か、商品か

一方で水道水の積極利用は「水の地産地消」にもつながる。自然の水循環に近い形で水を利用することにより、地域の水源が保全され、安全で安心な水が確保されると同時に生態系も維持されるからだ。

ところが現在、そうした水の地産地消が危ぶまれる事態が起きている。「水ビジネス」の影響だ。

南アルプスに囲まれた山梨県北杜市白州町は、環境省の「名水百選」に選ばれた尾白川が流れ、国内有数の水源地域として知られる。現在、大企業など飲料水メーカー約20社がここで井戸を掘り、取水を行うが、過剰な取水により周囲の井戸が濁るなどの影響が出ており、不安を感じる住民もいるという。

また、海外では水道を民営化することで水道料金が高騰したり、水質が悪化したりするなどの事例も発生している。10月7日付産経新聞は、フランス・パリ市では一旦民営化した水道が今年から再び公営に逆戻りしたと報じた。

NPOのA SEED JAPANで水プロジェクトを担当する三本裕子理事は「果たして水ビジネスは、クリーンな水にアクセスするための答えになっているのか」と疑問を呈する。

「これまで共有物として扱われてきた水が、今や商品になろうとしている。アフリカでは企業が水を確保するために、農業用地として土地を買い占めている。日本でも、山を購入すればその地下の水源は山の持ち主のもの。水が顔の見えない誰かに占有されれば、地域の人々は水にアクセスするのが難しくなる」

蛇口をひねれば当たり前に出てくる水道水。しかし、日本の公営水道も水道管などの設備の老朽化が進む一方だ。将来、果たしてこれまで通り、安全で安価な水道水を口にし続けることができるのか。その答えは、私たちがどの水を選ぶのかにかかっている。(オルタナ編集部=斉藤円華)2010年11月2日

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2010年11月3日(水)9:00

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