水道水からも検出:マイクロプラ問題を考える(下)

千葉工業大学の亀田豊准教授らは、北海道釧路市と沖縄市の水道水からマイクロプラスチックを検出した。国内で正式発表された検出例は、おそらくこれが初めてだ。マイクロプラスチックは生態系や個人にどんな影響を与えるのだろうか。「水道水からも検出:マイクロプラスチックを考える(上)」に続き、マイクロプラスチックの危険性を説明する。(編集委員・栗岡理子)

調査の様子。10マイクロメートルのネットで水道水を1立法メートルろ過する(亀田豊准教授提供)

■飲料水に含まれるマイクロプラスチックの危険性

気になるのは、マイクロプラスチックがどの程度、健康に影響があるかだろう。世界保健機構(WHO)は、ペットボトル水からのマイクロプラスチック検出が報告された後、安全性の検証に乗り出した。

WHOは2019年8月、マイクロプラスチックが混入した飲料水について、現状の検出レベルでは健康リスクは生じないとする見解を発表した。ほとんどの粒子が体内で吸収されることなく排出されることがその理由だ。

しかし、プラスチック汚染の影響は、まだ分かっていることは少ないため、今後さらなる研究を行う必要があるとしている。

大半が体外へ排出されるにせよ、マイクロプラスチックに吸着された環境汚染物質が体内に入ることによる健康リスクの可能性については、日本学術会議が2020年4月に発表した提言書「マイクロプラスチックによる水環境汚染の生態・健康影響研究の必要性とプラスチックのガバナンス」によっても指摘している。

極小の粒子は、体内に残ると指摘する研究も多い。

環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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