室伏長官も応援、障がい者カヌー競技の映画公開へ

第33回東京国際映画祭は4日、パラカヌー(障がい者向けカヌー)を題材とした『水上のフライト』を上映した。ケガから再起した実在のパラアスリートに着想を得た物語だ。舞台挨拶にゲストとして招かれた室伏広治スポーツ庁長官らは、短期間で競技用カヌーに慣れてスタント無しで主演した女優・中条あやみさんの努力を讃えた。本作は11月13日に全国公開予定だ。(オルタナ編集委員・瀬戸内千代)

『水上のフライト』舞台挨拶の様子(11月4日、都内で)©2020 TIFF

競技用カヌーはスピード優先の形状のため、沈(ちん=転覆)しやすい。兼重淳監督は、「体育大学に通う学生さんがレジャーカヌーから競技用カヌーに慣れるのに1カ月はかかるそうだ」と補足した。

映画『水上のフライト』は、人生の拠り所を突然失った主人公の葛藤と、周囲に支えられて理不尽や喪失感を乗り越える経緯を描き、コロナ禍で苦境に立たされた人々にも勇気を与える。

ストーリーに大きな影響を与えたのは、東京2020大会パラカヌー選手の瀬立(せりゅう)モニカさん(江東区カヌー協会/筑波大学)だ。瀬立さんは高校1年生の時、体育の授業中に怪我をして車椅子生活になった。

前回のリオ大会から正式競技に加わったパラカヌーのカヤック種目は、障がいの程度によって3クラスに分かれる。瀬立さんは最も重度のL1クラスで、肩と腕だけで競技用カヌーを操る。

瀬立選手らが出場する東京パラリンピックのパラカヌー競技は2021年9月2~4日に、瀬立選手の地元である東京都江東区にある「海の森水上競技場」で開催予定だ。

映画にも登場する日本財団パラリンピックサポートセンターは、ポータルサイト「パラサポウェブ」で、パラ競技の各種目や東京2020大会出場選手たちを紹介している。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は12月1日から希望者に対してチケットの払い戻しを始めるが、選手たちは、この不透明な状況の中でもコンディションを整えつつ、本番に備えている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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