長崎県の諫早湾で国が進める干拓事業を巡り、国に排水門を5年間常時開放するよう求めた福岡高裁判決について、菅総理大臣は12月15日、上告を断念することを表明した。今後、事業主体の農林水産省は2012年度からの常時開門をめざし、実施方法などを検討する。
国営諫早湾干拓事業では、1997年4月以降に潮受け堤防が閉じられて以降水質が悪化し、沿岸漁業が大打撃をこうむったとされる。地元漁民が国を相手取り潮受け堤防の撤去や排水門の常時開放を求めた訴訟の控訴審判決では、6日に一審の佐賀地裁判決に続き開門調査を認める判決が出ていた。
菅総理は「ギロチンといわれた潮受け堤防の閉門工事以来、何度も現地に足を運んだ」とした上で「高裁の判断は大変重い。最終的に上告をしないと判断した」と語った。(オルタナ編集部=斉藤円華)2010年12月15日