町の復興には現場が意思決定を

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「まちづくり展」の展示。復興のロードマップ。

東北復興をテーマとした「まちづくり展」が、4月12日から22日まで日本建築学会で開催された。3.11 以降の国土のあり方について建築や都市の専門家が討議する連続ワークショップが好評を博した。白熱する議論のキーワードは、地域主体のまちづくりだ。

本展の主催は、学会内のまちづくり支援建築会議。行政や市民によるまちづくりを中立的な立場で支援する専門家チームだ。阪神淡路や中越などの地震災害からどのようにまちを復興したか、宮城県石巻市のコンパクトシティ復興案などパネル展示を行った。

公開討議では、自然や地形を生かした集落再生、分権型の国土計画、都市防災など多様な専門的アイデアが示された。会場からは、縦割り行政や国と地方の階層の是正を求める声も上がった。

鳴海邦碩氏(大阪大学名誉教授)は、阪神淡路大震災の経験を踏まえ、現場が意思決定することの重要さを説く。アイデアが「事業名称などの制度に翻訳」されると予算化はされるが「エネルギーが失われてしまう」そうだ。国交省が示す「低炭素型の集約型都市構造の実現」などのガイドラインより、どうすれば魅力的なまちになるか、現地で議論することが必要だという。

被災地の復元力を高めるために現場のニーズに合わせた支援金を投入し、将来は自立した経済圏域をつくることを蓑原敬氏(蓑原計画事務所)は提案。

学会長の佐藤滋氏(早稲田大学教授)は、この復興を国や社会を再構築するための「節目」と位置づける。ヴィジョンだけでなく、魅力的な東北を実現する方法を示すことに意欲的だ。

20世紀は統治と市場主義のもとに都市がつくられたが、これからのまちづくりには「固有の文化的風土に根付いた共同体の倫理の再構築が求められる」と著書『地域協働の科学』(成文堂)の中で佐藤氏は記す。

必要に応じて超法規的措置も認める特区など、既存システムに縛られずに市民やNPO、企業連合、専門家が協働できるプラットフォームが必要だろう。一日も早いエシカルな復興のために、多主体による「共治」が実現することを願う。(オルタナ編集部=有岡三恵)2011年4月27日

2011年4月29日(金)9:59

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