被災研究者の危機打開へ、34学会が声明発表

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東日本大震災では、大学や研究所など多くの研究施設が被災した。さらに原発事故が、研究の推進に不可欠な国際交流に影を落としている。科学研究の基盤を揺るがしかねない事態を受け、このほど34の学会の会長が「日本は科学の歩みを止めない――学会は学生・若手と共に希望ある日本の未来を築く」という共同声明を発表した。

同声明は、1.学生や若手研究者への徹底的支援、2.被災施設や教育研究体制の早期復旧復興への支援、3.原発災害の風評被害を無くすための正確な情報発信――を提言している。地球科学分野を中心に国内34の学会(44万会員)が、政府や海外の学会と協力しながら次世代に希望をつなごうとしている。

提言1と2の背景には、大きな揺れに加えて停電や断水にも見舞われた東北や北関東の研究施設の甚大な被害状況がある。高価な機器が損壊した研究室の被害総額は軽く数千万円を超え、実験を継続しようにも新規購入のめどが立たない。

長年凍結保存してきた貴重な試料が停電で駄目になるなど、金銭ではカバーできない損失も出ている。被災全容の把握と夏季の電力不足対策に追われ、いまだ本業に戻れない研究者も多い。

提言3の背景にあるのは、日本で開催予定だった国際会議の相次ぐ中止や延期だ。留学生や外国人研究者が激減する兆候も見られる。日本化学会会長・日本学術会議第三部長の岩澤康裕氏(電気通信大学特任教授)は、「学生や若手の育成が危ぶまれている。これがあと半年も続くと、海外の大学や研究機関に人材が流れる可能性もある」と指摘する。

海外の一部報道には科学的な正確さを欠く情報も含まれる。一刻も早く国際的な風評被害を収束させるため、34学会は各ホームページに原発の状況を英文で掲載し、国際会議の場でも、きちんと説明していく方針だ。岩澤教授は「一部の人たちではなく、ほとんど全ての研究分野で一斉に日本のしかるべき人たちが説明する信ぴょう性とインパクトは極めて大きい」と、その意義を語る。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)2011年5月2日

2011年4月27日 「34 学会(44 万会員)会長声明」

http://www.jpgu.org/whatsnew/110427seimei34gakkai.pdf

2011年5月2日(月)10:27

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