政権内で「発送電分離論」が浮上

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東京電力の原発事故を受けて菅内閣の主要閣僚から、同社の地域独占の見直しと発送電分離についての発言が相次いだ。枝野幸男官房長官は16日の会見でこの問題について「選択肢として十分あり得る」と明言。玄葉光一郎国家戦略担当相は15日に「議論を妨げてはいけない。自由に議論する必要がある」と述べた。

菅直人首相は態度を明確にしていないが、10日の記者会見で「エネルギー政策は白紙に戻して検討する」と表明している。

電力会社の発送電の一体運用と、地域独占の是認は日本のエネルギー政策の柱の一つ。電力自由化はこのところ停滞気味だったが、東電は原発事故の賠償を支払うために会社の保有する資産を売却する必要に迫られ、発送電分離論は一転して現実味を帯びている。電力業界トップの東電で分離となれば他に波及することは必至だ。

発送電分離の肯定派からは、電力会社から送電部門を切り離せば自家発電の事業者が送電網を送ることが容易になり太陽光や風力などの自然エネルギーが普及しやすくなる、さらに事業者の競争で電気料金引き下げの可能性も高まるとの主張がある。一方で経産省、また独占を認められた9電力会社は「安定供給に支障となる」などと、そろって見直しには消極的だ。

世界に目を転じると、欧州では電力自由化が進み発送電の分離が一般的だ。しかし米カリフォルニア州で2001年に大規模停電が起こったことの一因は発送電分離によって、電力事業者の経営規模が縮小して設備投資が停滞したことが一因との主張もある。

日本における発送電の一体化と地域独占体制の始まりは1951年の電力再編まで遡る。当時は特殊法人の日本発送電会社が電気事業を独占管理していた。「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門(1875‐1971)が再編を主導。松永は民営化を促進すると同時に、巨額の設備投資が必要な電力事業で経営を安定化するために発送電一体と地域独占を主張したという。

電力事業の適切な形は、国情や経済情勢によって異なり明確な答えはない。ただし日本の未来、そして自然エネルギーの普及のために、今議論を始める必要は明らかだ。(石井孝明)2011年5月19日

2011年5月19日(木)16:28

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