山田洋次監督が視覚・聴覚障害者のための「バリアフリー映画」を後押し

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山田洋次監督と背後のスクリーンに映し出された文字通訳。壇上には、手話通訳者も用意された。

「映画のバリアフリーに映像表現の未来を感じる」――山田洋次監督は10月28日に都内で開かれたシンポジウム「視聴覚障害者のための『映画』の在り方を考える」で期待を表明した。

バリアフリー上映とは、聴覚障害者が映画を鑑賞できるように日本語字幕版をつけた邦画や、一部のテレビ番組のように視覚障害者が場面を想像しやすいようにセリフを補足する音声ガイドを施した映画上映のことだ。

山田監督がバリアフリー上映に関心を持ったのは、今から30年以上も前。「男はつらいよ」シリーズの大ファンであった難聴者の甥に日本語字幕をつけるよう頼まれたことがきっかけだ。

それまで東京都が聴覚障害者のために日本語字幕を付けていた予算を打ち切ったため、バリアフリー映画が鑑賞できなくなってしまったのだ。

それをきっかけに、この分野に関心を持ち続けた監督は91年に映画「息子」を撮る。主人公が聴覚障害者の女性に恋をする物語だ。監督は、同作品をなんとしても甥に見せようと、キリン福祉財団の支援で、日本語字幕を付けた作品の上映にこぎつけた。

山田監督は「映画誕生からわずか100年余り。その間に表現技術は劇的に進化した。そして、映画誕生以来、主流であったフィルム映画からデジタル映画に移行しつつある。これにより、さらに複雑な表現が可能になる。そこに『障害者にも伝わる表現』という視点が加われば、映画には更に広い未来が開かれる」と語った。

「3.11以降、科学の進歩は必ずしも人類の幸福に結びつかないことは誰もが実感しているのではないか。ただし、『社会的な弱者を幸せにする』という限定条件を付けるなら、私はいくらでも歓迎する」(山田監督)

(オルタナ編集部=赤坂祥彦)

 

2011年10月30日(日)11:19

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