日本が発明した「デジタルグリッド」を世界標準へ――東大発のコンソーシアムが活動開始

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記者会見でコンソーシアムについて説明する阿部氏

産学連携の社団法人が、日本発の電力インフラの世界標準化を目指して動き出した。

「デジタルグリッド」は、自然エネルギーの変動を吸収し停電も防止する新しい電力供給システムだ。東京大学大学院工学系研究科で技術経営戦略を専攻する阿部力也・特任教授が発案した。

スマートグリッドは、情報通信技術を活用して効率的に需給バランスを取る「賢い」電力網という概念である。スマートメーターなど測定技術は形になっているが、阿部氏が商標登録した「デジタルグリッド」のような、実際に双方向の送電を可能にする技術がないと完成しない。

デジタルグリッドでは、電気の追跡と記録も可能だ。情報タグを付けて電気を識別する技術で、まるでインターネットのように、電力網の中の狙ったところに電気を送ったり、指定した電気を引き出すことができる。

阿部氏らは9月7日に、デジタルグリッドの実用化に向けて、非営利の一般社団法人「デジタルグリッドコンソーシアム」を設立。12月12日にはオリックス、日本電気(NEC)、日本ナショナルインスツルメンツの3社と共に記者会見を開き、活動開始を宣言した。

2011年度は共通仕様とビジネスモデルを策定、2012年度はプロトタイプの開発に入る。それと並行して、ハイパワーで無停電の電気を供給する「ブーストハウスシステム」も開発する。一般的な住宅はピーク時に備えて平均使用量の10倍ものアンペアで契約しているが、ブーストハウスでは、バッテリーを活用して最小限の電気で快適な暮らしを実現するという。

デジタルグリッドでは、電力会社の基幹系統は安価で安定な産業用の電力として確保する。そこに接続する民生用の電力には、大量に自然エネルギーを導入する。発電と貯蔵の機能を併せ持つ自立可能な住宅やビルに、ルーターとコントローラーを設置し、グリッド内で電気を融通し合う。

ルーターにアドレスを割り当てれば、電気の由来が明確になる。阿部氏は、「現在の電気はコース料理のようなもので、供給側が用意した『ベストミックス』の電気しか買えない。デジタルグリッドでは、電気はアラカルトになる。ユーザーが使いたい電気を自由に選んで買える」と語った。

同コンソーシアムは、産学連携で技術開発を進めていくため、引き続き参加企業・団体を募集している。米国電力研究所(EPRI)で実証実験をして規格の世界標準化を図り、3年後までに10万kWの普及を目指す。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)

2011年12月13日(火)9:00

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