巨大津波で海辺の生き物はどうなったのか――研究者がシンポ開催へ

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2月5日に仙台で開催される市民公開シンポジウム

東北沿岸生態連絡会が、2月5日に市民公開シンポジウム「大津波で被害を受けた沿岸域の生物多様性の現状」を仙台で開催する。

震災後の海に関する会合は、これまでも学会や団体ごとに全国各地で開催されてきた。しかし東北沿岸の生き物にテーマをしぼり、組織横断的に研究者が集まって一般向けに発表するのは、これが初めてだ。

沿岸には例えば、エビ、カニ、アサリ、アワビ、カキ、ウニなどが生きている。人の暮らしに近い沿岸域の調査は、漁業はもちろん、観光業の復興のためにも重要だ。特に、津波被害が大きかった三陸は漁業が生活を支えていた地域。沿岸生物は欠かせない資源である。

沿岸域は生物多様性に富み、海洋生物の研究者にとっても貴重なフィールドである。そのため震災直後から複数の大学や研究機関が津波の影響を調査していた。しかし研究者コミュニティは学会やプロジェクトごとに分断されがちで、当初は情報共有が難しかった。

そこで2011年8月下旬に研究者有志が、東北の沿岸生態系に関する調査研究のプラットホームとして「東北沿岸生態連絡会」を立ち上げた。同会には研究者の他に、行政職員やコンサルタント、学生などが組織の垣根を超えて個人で参加している。

東北大学内に拠点を置く同会は、主にメーリングリストを使って参加者の連携を図っている。多彩な研究チームと情報交換できれば、新たな視点を得て個々の研究が発展したり、斬新な共同研究が生まれる可能性がある。同会では随時参加者を募り、ネットワークの充実を目指している。

同会が日本水産学会、日本海洋学会、日本生態学会などの後援により開催する今回のシンポジウムは、250人が入る会場で開催される。専門家が沿岸生態系の現況調査やモニタリングの成果を無料で市民に公開して「明日の東北を考える」ヒントを提供する。

同会幹事の占部城太郎東北大学教授は「震災後約1年間の研究の成果を、写真を交えて報告する。その内容は、例えば三陸復興国立公園構想などにも参考になると思う」と語る。

登壇者は東北大、東邦大、北里大、東大大気海洋研究所など大学系の研究者と国立環境研究所の研究者。津波被害にあった干潟や湾の生態系について、地形や生物群の変化や現状、そして今後の対策などを発表予定だ。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)

東北沿岸生態連絡会

 

2012年1月30日(月)9:35

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