経済産業省原子力安全・保安院は8日、関西電力大飯原発3、4号機のストレステスト(耐性検査)の一次評価について「妥当」とする審査書の修正案を専門家の意見聴取会に示した。修正案にはストレステスト手法に対するIAEA(国際原子力機関)調査団の勧告が一部盛り込まれたが、出席した委員からは「福島第一原発事故の検討はまだなのに、なぜ福島と同じ地震が起きても安全と言えるのか」などの意見が出た。
東芝で原子炉格納容器の設計に携わった経験のある後藤政志委員は「想定外が考慮されておらず、また当初からどれだけ余裕があればいいのかの合意もできていない」と追及し、東電原発事故を防げなかった保安院が行うストレステスト審査のあり方そのものを批判。東京大学名誉教授の井野博満委員も「二次評価も行わないと総合的な評価とは言えない」と指摘し、安全を軽視し再稼働を急ぐ傾向にクギを刺した。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年2月9日