増え続ける米軍基地について監督と学生が討論――映画「誰も知らない基地のこと」公開

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訓練機の爆音に耳をふさぐ普天間の子供(映画「誰も知らない基地のこと」より) ©Effendemfilm and Takae Films

沖縄が返還40周年を迎える5月を前に、ドキュメンタリー映画「誰も知らない基地のこと」が公開された。4月7日の公開日には、東京外国語大学が上映会を兼ねた学生向けのシンポジウムを開催。参加学生らが来日中の監督2人を囲んで、米軍基地について意見を出し合った。

 

イタリアの世界遺産の街「ヴィチェンツァ」にも米軍が駐留している。基地拡大に地域住民の95%が反対し2007年に大規模なデモを起こしたが、国同士の約束を理由に、現在も基地建設は進んでいる。

「誰も知らない基地のこと」(原題:Standing Army、伊2010年)は、監督のエンリコ・パレンティとトーマス・ファツィが、自国の反対運動から世界に目を転じて「米軍基地」という存在を見つめ直した作品。

米国は他国の基地を1つも受け入れていない。その一方で、700以上の米軍基地を約40カ国に設置し、25万人の兵士を駐留させている。

東京外国語大学の学生と語る監督たち(マイクを持っているのがトーマス監督、通訳をはさんでエンリコ監督)

ディエゴ・ガルシア(インド洋)も普天間(沖縄)も、かえって平和を奪われた。関係者や住民の証言から浮かび上がるのは、非民主主義的な手段で世界中に増殖していく米軍基地の異様さだ。

映画に登場する米国の故アレン・ネルソン氏は、沖縄の基地にも滞在経験のある元軍人である。退役後は平和活動家に転身し「基地はガン細胞みたいなもの」と断じる。

東京外国語大学の総合国際学研究院の中山智香子教授は、ゼミの学生とシンポジウムを企画。同作品を鑑賞後、監督2人を迎えて質疑応答と討論の時間を設けた。

そこでは、基地の運営で多くの企業が利益を得ていること、米国が冷戦後も新たな敵を探し基地を積極的に設置していること、入隊する若者の背景に差別や貧困の問題があることなどが改めて指摘された。

監督らは「米国の権威は落下中で、経済的にも基地は持続不可能」「米国は他国を信頼していない。帝国化よりも共存が大切だ」などとコメントした。

同作品はシアター・イメージフォーラム(東京・渋谷)を皮切りに、順次全国で上映される。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)

2012年4月9日(月)9:50

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