「東電経営陣は原発の危険性を無視し続けた」――株主代表訴訟、6月14日に公判開始へ

満席になった東電株主代表訴訟の勉強会

福島第一原発事故を巡って東京電力の株主42人が会社を相手取って起こした株主代表訴訟で、第1回口頭弁論は、6月14日に東京地裁で開かれる。

原告団は5月4日、市民向けの勉強会を開き、「事故は想定外という東電の言い逃れは通用しない」との主張を掲げた。裁判の行方は国民にとって大きな関心事になりそうだ。

この株主代表訴訟は、東電株主が3月5日に歴代の取締役27人を相手取って起こしたもの。福島第一原発の安全対策を怠って会社に損失を与えたとして、被告に5兆5045億円の支払いを求めた。

被告には現職役員の他、12人の退任済みの代表取締役や原子力関係の責任者も含まれる。2002年以降、東電の試算や各種機関の報告によって、大地震が発生した際の福島第一原発の危険性が明らかになり、取締役はそれを承知していた。そのため、当時までさかのぼり、事故の予見可能性と結果回避義務違反、取締役としての善管注意義務違反を追及する。

訴状では、危険性の警告を無視して原発を稼働し続けた経営陣の判断ミスと、いざ事故に直面した際の現場対応の失敗が、今回の過酷事故を招いたと指摘。安全神話に甘んじて準備を怠った結果として会社が負った賠償額は、被告が連帯して個人資産で補てんするように求めている。

勉強会では、地震多発地帯に原発が乱立する日本の異常さ、敷地を掘り下げていた福島第一原発のもろさ、「原子力マネー」で学究の世界までが汚染された可能性などを原告団が解説した。

その後、福島から避難中の参加者などが挙手して、活発な質疑応答が続いた。大株主の責任や、津波の前に地震で外部電源や配管が破損した可能性が話し合われた。

また、2006年に原子力安全委員会が、原発立地への十分な説明なしに「残余のリスク」を認め、過酷事故への布石を打っていた事実の重大さも、改めて確認された。

原告の一人、木村結氏が「国が安全と言ったからといって、企業が責任を取らなくていいという話にはならない。市民のまっとうな声に裁判所は応えるべきだ」と語ると、会場から拍手が湧いた。

やはり原告で、勉強会の講師を務めた山崎久隆氏は「負けるとは思っていない。ひとたび過酷事故を起こせば経営陣は責任逃れができないことを示し、原発を抱えるリスクを電力各社に自覚させたい」と意気込みを語った。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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