米SEC、鉱物資源使用の報告義務化

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米証券取引委員会(SEC)は8月、紛争地域で産出された鉱物資源の使用を企業が報告するルールを正式に決めた。米国に株式を上場する企業は2014年からルールにのっとった報告が求められる。産業界の反発もあって計画よりも1年遅れたが、いよいよサプライチェーン全体に企業の社会的責任(CSR)を求める規制が始める。海の向こうの規制ではあるが、日本企業も対応が迫られている。

ルールは10年に成立した米国金融規制改革法の「コンフリクトミネラル(紛争鉱物)条項」のために作られた。条項の狙いは、紛争状態にあるコンゴ民主共和国とその周辺地域で産出した鉱物の使用を規制し、鉱山を支配する武装勢力の資金を絶つこと。

企業は自社製品に紛争地域産のスズ、タンタル、タングステン、金の4種の鉱物が使われていれば、その使用をSECに報告する。スズはハンダ、タンタルは電子部品の一つであるコンデンサーの材料だ。

SECが決めたルールによると1~12月の紛争鉱物の使用を調べ、5月31日までに報告する。初回は13年1~12月を対象に14年5月31日までに報告することになる。焦点の一つだった産地が不明な鉱物については、2年間(中小企業は4年間)は不明なまま報告しても良いことで落ち着いた。

ルールの正式決定を受けて対応が本格化する。米国上場企業はもちろん、日本メーカーも備えが必要となる。アップルの「iPhone」の例のように電子機器には多くの日本製電子部品が使われているからだ。実際に11年、多くの日本メーカーが米国企業から紛争鉱物の使用状況について問い合わせを受けた。

CSRコンサルタントは「日本メーカーは紛争鉱物の不使用が米国企業との取引条件となる」と見ている。だが、例えば電子部品メーカーだと鉱物を商社や材料メーカーから購入しているため、産地までは把握していないのが実態だ。しかもサプライチェーンの上流にさかのぼって調査するとなるとコストや時間がかかると悲鳴を上げるメーカーも少なくない。

米国企業からの問い合わせに「産地はわからない」で済ますのか、それとも調査するのか。取引の継続を考えると調査した方がいいのは明らかだ。事業活動でしっかりとCSRを果たしている姿勢を社外に示す機会となる。(松木喬)

2012年9月21日(金)11:51

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