【わがパーパス】返済不要の奨学金で「学び」を奨める

株式会社オルタナは組織の経営者自らが、自組織の「パーパス(存在意義)」を執筆する企画「わがパーパス」を行っています。返済不要の奨学金を提供する学奨財団(一般財団法人大学生奨学財団)のパーパスを紹介します。

組織概要
組織名:学奨財団(一般財団法人大学生奨学財団)
筆者名:村中敏彦
筆者役職名:理事長
本社住所:〒107-0062 東京都港区南青山3-1-31 KD南青山ビル5F 株式会社エアークローゼット内
業種:非営利法人(教育系)
資本金:500万円(設立時の基金)
設立年:2022年
従業員数:役員などが22人
HPのURL:https://gakusho.or.jp/

学奨財団の村中敏彦・理事長

現在、大学生の約半数が奨学金を利用していると言われています。企業やその創業者が設立した奨学金も多数存在し、奨学金紹介サイト「ガクシー」には約1万6000件もの奨学金が掲載されています。

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しかし、応募者数や競争率、具体的な選考基準・方法は公表されておらず、応募者は合格可能性が分からないまま、多数の奨学金に応募する作業を強いられています。

私自身も約40年前奨学金を受給した経験者であることから、この構造的問題を解決したいと考えました。そこで、個人の退職金と賛同頂いた企業などからの支援を原資に、2022年10月、新しく学奨財団を設立しました。

そのパーパスは「奨学金のもう一つの選択肢」です。当財団は返済不要、併給可能であり、経済支援ニーズの高い優秀な学生が、大学生活を充実させるための魅力的な選択肢となっています。

選考過程の「透明性」を確保へ

その独自性は主に4点あります。

一つ目は、 選考方法の透明性が高いことです。具体的な選考基準・方法、選考委員の略歴を財団サイトで公開し、前年の選考結果の統計資料を開示しています。

二つ目は、選考委員の多様性が高いことです。10人の委員は男女同数、文系理系同数、出身の大学・学部や職種は多様です。

三つ目は、奨学生の対象大学を客観的基準で判断することです。指定基準が不明瞭のまま少数の大学を財団が指定するのでなく、学部ごとの入学難易度が考慮された偏差値を基にすることで応募対象の大学数は100超になりました

最後の四つ目は、特定企業に偏らない中立性です。企業系列や業種を超えて幅広い企業が資金面で支援し学生と交流しています。既存の奨学金財団はこれらの点を一つも実現できていません(当財団調べ)。

当財団が最も重視する「志」は、「学びを奨める」という使命です。役員などに就任してもらう際や、奨学生やサポーター企業に当財団で活動してもらう際に、その判断の軸となっています。

役員全員が無報酬のプロボノ

具体的には、学生が、当財団の選考基準を知ること、応募時に小論文を執筆すること、交流会や勉強会に参加することなどを通じて、学業に精励し、大学生活を充実させる意欲をもつことを奨励し、役員等やサポーター企業がその環境を整えています。

この志は、私の体験に根差しています。すなわち、私自身が奨学金給付を受けながら大学で学んだこと、卒業後も仕事を通じての学びと実践が大切と感じていること、書物やネット情報だけでなくさまざまな人々との交流が学びを進化させると信じていることが、志の源流であるのです。

当財団の役員など22人は全員が無報酬のプロボノで、有給の職員はいません。若者の教育への関心と社会貢献志向を持ち、ビジネスパーソンとしての専門性や経験を財団の活動に活かそうという人材がそろっています。

今後、交代・増員する際にも、こうした人材を引き寄せ、その力を活かしていく必要があります。加えて、こうした人材が、サポーター企業の人事責任者や大口寄付者にいることが、「学びを奨める」というパーパスの推進力となっています。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #わがパーパス

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